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2016.04.26
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テーマ:本日の1冊(3687)
カテゴリ:カテゴリ未分類
店番をしながら、書架から引っ張り出してきた「The Origin of Consciousness in the Breakdown of the Bicameral Mind」という本をパラパラと摘まんでいた、Julian Jaynes(以下、ジェインズ)というアメリカの心理学者の著作で1976年の出版だ。なんせタイトルがすごい、bicameralという単語は議会の二院制の時に使われるのしか聞いたことがなかった。biは二つで、cameraは「カメラ」の語源でギリシア語の「kamara 部屋」のようだから、「二つの部屋」ということか。Wikipediaを調べたら、Bicameralismという心理学の項目があって、ジェインズのこの本のこともちゃんと書いてある、おまけにリンクしている日本語のウィキにも「二分心」という項目があった。この本の日本語訳が出ていて、邦題は「神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡」(紀伊國屋書店、2005年)。より原題に近く訳すと、「二分心の崩壊による意識の起源」、つまり二分心状態が崩れて意識が出現した、という意味だろう。

今まで耳にしたこともなかった著者とその作品、読み進めてみると、これが面白い!人間の意識についてよく考え抜いて独特の仮説に到達したようだ。本の書き方はあまり学問的な書き方ではなく、ポピュラー・サイエンスの本としてかなり売れたようだ。1978年の全米図書賞というのを貰っている。この本の内容を敷衍して、ジェインズは学術誌に論文をいくつか発表していて、その後の意識科学にある程度影響を与えたようだ。SF小説の分野でも、William Burroughs、Robert Sawyer、Philip Dickといった作家たちがジェインズの説に影響されたそうだ。

その店番の日の午後、たまたま話が弾んだ人類学に興味を持っているという客に、ついこのジェインズの本を薦めてしまった。ネバダからこの街に遊びに来ているという夫婦は、よせばいいのに僕の話を真に受けてしまい、あるいは仲良くなった同世代のボランティアを喜ばせようとしたのか、この本を買っていってしまった。これってなんだか、学生時代に「あの娘って、性格いいし優しいよ」と友達に話したら、その友人がいつの間にかその娘を彼女にしてしまった、という本当にあったかもしれないような話だ。いずれにしても、逃がした魚は大きいと感じる人間の性、このままにしては置けないので、ネットでジェインズの講演をpdf文書にしたものを見つけて読んでみた。

まずはっきりしておかなくてはいけないのは、ジェインズが<意識(consciousness)>という言葉で表しているのは、「意識を失って倒れた」というように使われる単なる覚醒状態のことではなく、人間に特有な(と考えられている)、自らを意識する意識、内省的・自省的・再帰的な意識、哲学などではメタ意識と言われるようなものだ。

結論を先に書いて、細かい話は次回にしよう。ジェインズの仮説では、紀元前1000年程前までは、人間の心に意識(=メタ意識)はなかった。動物と同じような本能的衝動と神や王からの命令で動いていた、というのだ。神の命令は、幻聴という形で聞こえていた。頭の中で鳴り響く命令、これは右脳から左脳に送られる語られる言葉であった、とジェインズは推測する。右脳と左脳がはっきりと分離したこの状態を、ジェインズは二分心と名付けた。





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最終更新日  2016.04.26 14:55:10
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