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カテゴリ:思うこと
(1ページからの続き) 「で、ここのシステムはどうなってるの?」 「システムって? あっ、席料は一人500円ね。あとはあそこに値段表があるから」と壁を指さす。酒もつまみもリーズナブルな価格であった。我々はひとまず安心して、注がれたビールを一気に飲んで喉の渇きを癒した。 「ゆうちゃんもこっちおいでよ」と愛ちゃんらしき女が言う。 「はいよ」とゆうちゃんがやってくる。 「ちょっとそこ空けて」とT本とK山の間に座った。顔を考慮に入れなければ、体の線はなかなかのものであった。 「いつも私ひとりなんだけどね、今日は妹がお手伝いなのよ」と愛ちゃん。 なるほど言われてみれば二人の顔はよく似ている。この手の面相はこの地域特有の顔かと私は思っていたが、そういうことではないらしい。 鼻梁はあくまでも低く、鼻翼はあくまでも広がり、目は・・・悪魔のように大量の黒いマスカラに隠れてサイズの見当がつかないが、おそらくかなり細い吊り目であろう。その目がときどき剥くように開く。おね~さん、こっち見ないで、とても怖いわ^^; それまで期待感50%、不安感50%の比率であったのが、期待値が急激に減少していったのは言うまでもない。 「じゃあ、あなたが愛ちゃんなんだ」 「いえ、私はカヨコ。愛ちゃんは私のおっかあの名前よ」 「あっ、そなの? お母さんの名前なんだ」 「そ、お店開いたのはかあちゃんだから。私は二代目。へへへ」 なるほど、確かに歴史があるのね。 ビールが空いて、ウィスキーに切り替えることにする。 「3人もいるんだから、ボトル入れれば安いわよ。私たちもいただきたいし」 「じゃ、ボトルちょうだい」とT本。「それから、スルメかなんかおつまみで」 ハイニッカの特大ボトル(片手で持てるようにハンドル付き)が出てきた。 こうなれば飲むしかないな、とばかりにK山はコップにドクドクと注ぎ込む。 T本は「きみスタイルいいね~」と、ゆうちゃんの膝と大腿部をしきりに撫でている。このときT本はすでに中年の域に達していた。ゆうちゃんは嫌がる気配もなく、無表情にタバコを吸っている。 「私のおっぱい固いのよ。垂れてないわよ」 いきなり私の隣でカヨちゃんが宣言した。 「固い?」おっぱいは柔らかいほうがいいんじゃないの? 「触ってみる?」 「いえ・・・」遠慮します、と言いかけたところで、カヨちゃんは私の手を引っ張り、強引に自分の胸の中へ入れた。ノーブラであった。う~む。 「ちゃんと揉んでみてよ」 「うん、確かに固いね」う~む。 「ねっ、だから私のおっぱいは垂れないの」 おっぱいじゃなくて、それ筋肉だろ! 「昼間は裏の畑で百姓してるからね。鍛えてるのよ。うははは」 う~む。 「どれどれ、おれにも触らせて」とT本が手を伸ばし、遠慮なく胸をまさぐる。 「うんうん、固いな」 「やん、乳首だけ触らないでよ」 「うははは」 このようにして、軽佻浮薄なT本、無口に酒をあおるK山、どうやってお開きにしようかと悩む私、ある意味ユニークな2匹の金魚たちの呆れた夜は更けていくのであった。 (遭難編に続く)
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最終更新日
2010年03月17日 08時15分40秒
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