Vフォー・ヴェンデッタ
ナタリー・ポートマンのスキンヘッドが話題を呼んだ「Vフォー・ヴェンデッタ」を見た。ストーリー近未来のイギリス。そこは独裁者アダム・サトラー議長(ジョン・ハート)が支配するファシズム国家となっていた。テレビ局で働くイヴィー(ナタリー・ポートマン)はある日、外出禁止時間に表を歩いていたところを運悪く秘密警察に見つかってしまう。そんな絶体絶命の危機を、彼女は“V”と名乗る謎の仮面の男(ヒューゴ・ウィーヴィング)に救われる。しかし男は、1605年に国王の圧政に反発し国家転覆を図り失敗に終わったガイ・フォークスにならって、たった一人でサトラー政府に反旗を翻す狡猾非情なテロリストだった。次第にVのテロ活動に深く巻き込まれていくイヴィーは、やがて自分自身の内なる真実に目覚めてゆく…。いやぁ、政治的で歴史的で、日本人、特に若い人たちには受け入れられないテーマの映画だな。まぁテーマを重要視しなければ、面白く見れる映画でもあるんだろうけど。そもそも原作が80年代のコミックで、当時の世相にならって「全体主義的独裁政治」とか「テロ」についての危機感を民衆全てが共有していた時代だったからこそのストーリーなんだな。今の世相には少々現実味が無い。特に日本では。ファシズムの台頭なんて日本人の何人が脅威と感じてるかって事だ。テロについては、ちょっと脅威を感じてる人は多いだろう。実際911のテロに留意して、去年の11月4日(ガイ・フォークス・デイ前日)の封切りを今年の3月まで延期したと言う話もあるし。しかし、あの予告を見て、そういうテーマを考えてみようと言う感覚でこの映画を見る人が何人居るかって思うわけ。俺も「マスク・オブ・ゾロ」+「マトリックス」+「リベリオン」みたいな感覚で見に行って大きく期待を裏切られたわけで。話の内容的にもちょっと中途半端な感じがして、のめりこめないし。政治とかテロとかそういう物語的な部分を前面に押し出して、考えさせるための映画でもないし、Vと美しい女性が活躍するアメコミ調の作品でもない。しかもどっちかを主題にして、もう一方で話に華なり現実味なりを付加すると言う作りでもなく、両方を表現しようとして両方とも物足りない感じになってしまっている。コミック原作だけあって、ストーリー展開や行動の動機付けも理不尽な事が目に付くし。最後の方のVの戦闘シーン(ほんとちょっとだけ)みたいなシーンを全体に持ってきてマーベルスーパーヒーロー的な映画にしたら良かったのにと思った。ん~、わりと期待はずれな映画だった。