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今日は実家の最後の片付け。
わずかな荷物を運びだしたら、部屋は本当に空っぽになった。 なんにもなくなった。 ご近所の方がやってきて、「寂しくなる」と何度も何度も言った。 少し立ち話をした。 色々な事務手続きをして、それから仕事に行かねばならなかったので急いでいたのだけど、近所の方も名残惜しかったのか、帰ろうとすると話をはじめて、なかなかその場を立ち去れず。 「あぁ、そういえば自転車の鍵があったんだけど、母が乗っていた自転車って、どれだかわかりますか?」 と聞いてみた。 「あ、知らないの?こっちこっち」 と、自転車置場に案内されて、教えてもらった。 「持っていく?いらなければうちで使わせていただくけど」 「どうぞよかったら使ってください」 と自転車の鍵を渡した。 私は 母が愛用していた自転車さえ知らなかったのだと悲しくなった。 何年も前に、母に「自転車を新しく買った」と聞いたはずだった。 「へー、そうなんだ」と、どんな自転車か見ようともしなかった。 そういうひとつひとつの小さな後悔。 この前実家に行ったとき、母の自転車を探そうとしてわからず、自転車置き場でひとり途方に暮れたんだった。 近所の人は、ひとしきり思い出話をする。 私が休みの日に実家に来ることを、母がどれほど心待ちにしていたかを延々と話してくれる。 私はいつも疲れていて、母とたいして話もせずに、うたた寝ばかりだったのに。 誰もいなくなってしまった実家の片付けという、気の進まない作業が全部終わって、 私がこの町に来る理由がひとつもなくなったことに改めて呆然として、 「寂しくなるね」という近所の人の言葉に 何度も頷いた。 今日は朝から頭の中を、泉谷しげるの「春夏秋冬」が流れてる。 今日ですべてが終わるさ、って何度も何度も。 お店に戻ると、スタッフがバタバタと仕事をしていた。 「予約が~!予約が間に合わな~い!」ってひとりでテンパりながら。 よく働く子、もういちいち言わなくても、自分が何をすべきかわかってて、言われなくてもどんどん仕事を見つけてやる子に成長した。 あぁ頼もしい。 ほっとする。 慌ててる本人には悪いけど、心の中でニヤニヤしてしまった。 いきなり辞めたスタッフの分まで、自分が頑張らなければと心に決めてるみたい。 えらいえらい。 そしてぬかりなくきっちりやってくれる。 ぬかりだらけだった辞めたスタッフのいい加減な仕事のケツ拭き作業もたんまりある。 確認する前にいなくなってしまったので、あとはこちらでお客様に確認しなければならない案件とか。 やれやれだけど、一生懸命働いているスタッフを見て、私も頑張らねばと思った。 がんばろう。 私はここで、頑張っていこう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.12.18 00:37:34
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