森田でよく使われる言葉 その4
高良武久先生が取り上げられている特殊用語も見ておきましょう。劣等感的差別観・・・他人と比較して、自分は社会への適応能力に欠けている。性格的に弱い面がある。容姿に問題を抱えている。能力面で見劣りがしている。やる気が湧いてこない。外界からの刺激に対して、特別に抵抗力がない。他人と比べてことさら自分の方が多くの問題を抱えている。そして劣等感的、批判的、否定的な思い込みをどんどん募らせて、自暴自棄になっている。ダメ人間で救いようがないと思っている。マイナス面があれば、プラス面もあって、バランスが取れているという思考ができない人のこと。部分的弱点の絶対視・・・完全な人間はいない。人間はそれぞれ身体的、精神的な欠点や弱点を抱えている。それらが気になるが、とらわれてしまって、絶対に取り除くというところまではいかない。不安や欠点や弱点を抱えたまま、日々の生活をこなしている。神経症に陥る人は、どんな小さな不安や心配事に対しても、それがあたかも自分の一生を左右するような一大事としてしまう。致命的な欠陥とみなして取り除こうとする。逃げ回ることになる。気になることを解決しないと、なすべきことに手をつけることができないと考えている人です。そちらでエネルギーを使い果たして、日常生活、仕事、人間関係がスムーズに回転しなくなる。劣等感的投射・・・自分の欠点や弱みにとらわれて、そこに注意を集中させて葛藤・苦悩していると、その自分を見ている周囲の人も重大な関心を持っていると思い込んでしまう。自分に対して軽蔑、反感、嫌悪感を持っているに違いないと思い込んでしまう。他人は自分の抱えている問題や目の前のことに関心を寄せており、ことさら他人のことを注目しているわけではない。そのことが分からない状態であり、防衛反応にエネルギーを使う。異物化のからくり・・・不安は欲望がある限り、自然発生するものですが、欲望はあってもよいが、不安はあってはならないものとして、異物とみなして排斥しようとする態度のこと。不安は生きていく上で必要なものという認識に欠けている。不安の役割や特徴、不安と欲望の関係、欲望の暴走の弊害の学習が不足している人です。防衛単純化・・・普通の生活をしていると、不安をかきたてる要因は次々に湧き起こってきます。すぐに解決できる不安は積極的に手を出し、どうすることもできない不安はそのままにして次の課題に進むようにするのがセオリーです。神経症に陥る人は、気になる一つの不安・欠点・弱点をことさら問題視して、これを解消すれば、万事解決して人生がうまく回転するように錯覚するようになるということ。脳では防衛系神経回路が作動しており、行動は消極的、回避的になります。