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標茶六三の「文庫で読む500+α」

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【山本藤光(本名)名義の主な著書】
『暗黙知の共有化が売る力を伸ばす・日本ロシュのSSTプロジェクト』(プレジデント社)⇒日本ナレッジマネジメント学会研究奨励賞受賞。
『なぜ部下は伸びないのか』(かんき出版)
『世界一ワクワクする営業の本です』(日本実業出版/オーディオブックFEBE)⇒韓国でも翻訳されています
『人間系ナレッジマネジメント』(医薬経済社)⇒企業向け説明に応じます
『最下位チームがトップになった・ビリーの挑戦』(医薬経済社・小説)⇒ほぼ実話です。どん底チームが本当にトップになりました。
『同行指導の現場・営業ドキュメント』(プレジデント社)
『MRの質を測るものさしあります』(エグゼビアジャパン)⇒企業向け講義をしています。
『仕事と日常を磨く人間力マネジメント』(医薬経済社)


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2017.04.24
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025:高校一年の初日 

――『町おこしの賦』第2部:四番テント



 瀬口恭二たちは無試験で、標茶高校普通科への入学を決めた。農業科の方は一・三倍の競争率だった。恭二はD組、詩織はC組とクラスは別々になった。

恭二のクラスには、南川理佐がいた。猪熊勇太は、詩織と同じクラスだった。そしてC組には、菅谷彩乃の兄・(こう)史郎(しろう)がいた。彼は、十九歳になったばかりである。中学を出てからすぐに働き、学費を貯めて入学してきている。同じ詰襟を着ているが、勇太にはまるでおっさんに見えた。幸史郎には、勇太の方から声をかけた。

 

「菅谷さんですよね。お姉さんから話を聞いています。おれ、猪熊勇太」

「姉、ですか? 私には妹しかいませんが……」

 その言葉で気がついた。彩乃さんの方が、妹だったのだ。

「ああ、すいません、妹の彩乃さんでした。湖陵高校だと聞いていたんで、つい間違えてしまいました」

 勇太は自分の軽率さを恥じ、彼を詩織の席に連れて行く。

「彼女は藤野詩織さん、こちらは……」

「紹介されなくても、わかるわよ。彩乃さんのお兄さんでしょう」

 詩織は幸史郎の精悍な顔立ちを見て、やっぱりアイヌの血が混じっていると思った。眉が濃く、目は深い二重で、顎のひげそり跡が青々しい。しかも勇太よりも、さらに筋肉質の身体をしている。

 

恭二のD組では、初めてのホームルームが開かれていた。標茶中学からの顔見知りが半分で、あとは隣町の磯分内中学校などから進学してきている。担任の指示にしたがい、それぞれが自己紹介をした。出身中学名と入りたいと思っているクラブ活動名を、あげるのがルールだった。

南川理佐は、「標茶中学出身、美術部を希望しています。趣味は絵を描くことです」と、落ち着いて自己紹介した。恭二の番がきた。

「瀬口恭二、標茶中学出身。新聞部へ入部しようと思っています。兄がいます。標高の二年生です」

 

一通りの自己紹介がすんだ時点で、担任は伝えた。

「便宜的にクラス委員を決めてある。落ちついたら選挙で選ぶけど、それまでは瀬口恭二に委員長、南川理佐に副委員長をやってもらう。

何か相談ごとがあったら、二人を通すように。瀬口と南川は、突然の指名で悪いけど、みんなに顔を覚えてもらうために、壇上に並んでくれないか」

二人は教壇に立ち、頭を下げた。

 

ホームルームが終わると、さっそく「委員長」という声に呼ばれた。磯分内中学校出身で、柔道部希望の野方智彦だった。

「あのさ、委員長。おれ、目が悪いんで、黒板の字が見えないんだ。だから席を前に変えてもらいたいんだけど」

「わかった、担任に伝えておくよ」

 面倒な役職を、与えられたと思う。クラス委員長というのは、頭がいいやつが選ばれるのが常識じゃないか。何で、おれと理佐なんだ。そう思いながら恭二は、クラス日誌に席替えの件を書き留めた。

 

 校舎から校門までの道の両脇には、さまざまなクラブの看板が並んでいた。執拗に、勧誘している生徒もいた。まるで繁華街のぽん引きみたいだった。恭二は足早に、そこを通り過ぎる。






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最終更新日  2017.04.24 05:16:12
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