カテゴリ:展覧会
(写真:雨の日、岡崎中学校に知事選挙に出向く。栗田咲子さんの作品「飛鳥の棚」の色合いを思い出させる跳び箱に出会う。)
栗田咲子個展「福宿る」を開催します。ギャラリーモーニング5周年。 http://gallerymorningkyoto.com 振り返ってみると、そこには「予言」があったように思う。 栗田咲子さんの絵画展、今回のテーマは「福宿る」である。 この言葉は誰に向けられているのだろうか。このワード、イイカンジだ。 去年描かれた、神棚にワンカップ酒が供えられている絵。「かっぱデミタス」 2009年には国立国際美術館買い上げになってしまった「飛鳥の棚」 気になる作品を新作と共にA4二つ折りの案内状に収録した。(各画廊に配布したのでぜひ手にとってください) 栗田咲子さんには、90年代、おそらく大学を出る頃の作品を観てから、はまっている。 放ったらかしにされたキャンバスの白。ラフなのに雰囲気がある人物の描き方。胸のあたりに食い込んでくる主人公。 「prairie hen」1999 デンシンボウを支える斜めワイヤーを包む、黄色と黒のプラスチック安全カバーと花に絡まりながらギターに見立てた杭を奏でている女性の絵(gallerymorningkyoto所蔵)半分ほどはキャンバスの白がそのまま使われている。 ずーっとみて来た。 アトリエに行って見せてもらった大学院時代の「自画像」の迫力・・・ 「まにわ牛」で描かれた野良を行き来する三頭の牛。その後、地震が来て朝日新聞の一面に野に放たれた牛の姿が紹介されていた。 「やぎさん」2006年。横たわるヤギは茶色と黄土色で描かれていて。背後に二つの月が動いている。2009年に村上春樹の「1Q84」を読み進む中で、この絵がまざまざと文章に重なって困った。 「福宿る」の展覧会は4月29日に開演する。 初期の頃の白いキャンバスの塗り残し、不可思議ないくつかのモチーフが混在する画面、重なる時差あるレイヤー、そして、ユニークなタイトル。 ニヒっと笑いをおしとどめ、なんで?の疑問を受け入れながらも、頭のなかに生まれ出る「?」が増殖していくオモシロさ。絵の中身がどうしてと言うこともあるのだが、ポイントは「今」なぜ、この絵が露わにされるのかということへの興味が成長する。 あるときのFUKUGANギャラリーではBLUEのカンガルーが横たわっていた。ちょうどその時、作家の知らない世間マスメディアでは野生のカンガルーの話題が流れていた。 今、キャンバスに描かれ、名付けられた心動が、物となる、栗田咲子というメディアによって現実化される「事」。それ自体が生み出す縁に囲い込まれるじかんとともにいるオモロさがいいのだ。 その同時代性の因、例えば「覆面されたみかん」のカタチを通して、見る物を包む。時代からは孤立したように生きる作家がつくる世界に、じかんの奥の奥にフラリと入っていって行くことを促される。 栗田作品、お楽しみに。 ・・ ・ 2009年の画廊オープン第一回目の展覧会を栗田さんにお願いして、続けて2010年の個展「お八つの友」。2012年に紙の作品ばかりの企画展「紙のしごと」に参加していただいて以来、個展としては4年ぶりの登場。今回案内状掲載の新作を含む油彩画のほか、水彩画を展示いたします。 ギャラリーモーニング 栗田咲子 略歴 1972年 岡山県生まれ 大阪府在住 1997年 京都市立芸術大学大学院 修了 FUKUGAN GALLERY/大阪('99~’13)、ギャラリーモーニング/京都('09~'10)などで個展、グルー プ展。「VOCA2000」上野の森美術館/東京、「Exhibition as media 2008『LOCUS』」神戸アートビレッジセンター/兵庫、「絵画の庭ーゼロ年代日本の地平からー」(2010)国立国際美術館/大阪 などに出品。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 6, 2014 12:31:03 PM
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