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カテゴリ:Memories
その日。病院から塾へ着くまでの過程を殆ど覚えていない。
恐らく,奥様から伺ったお話を頭の中で反芻していたのだろう。 死因は癌。肝臓と胆嚢の。 手術云々の話はついぞなく,転移が進んでいて手遅れだったと思われる。 入院から10日後くらいには,早くも意識の混濁が見られ,ご家族の方の識別も困難になっていったそうだ。 肝臓が機能せず,排出されない毒素が脳にまで及んだことが原因とのこと。 あの明晰なウロコ先生の頭脳を侵すなんて,腹立たしくさえあった。 印象的だったのは…。 朦朧としておられる筈なのに,ベッドに座りカレンダーを使って一生懸命「授業」をされていたそうだ。 「数の規則性」に関するものであろうことは,想像に難くない。 塾の人間としての「第二の本能」が,このような状況下でなおウロコ先生をかきたてたのかと思うと,胸が締め付けられるようだった。 教室へ入るなり,応接用のソファに崩れ落ちた。 なんという虚無感。 数十分前にウロコ先生の亡骸と対面したばかりなのに,実感というものがまるで湧かない。 悪夢を見ているようだ。 この後,夕方から授業。 こんな心境で子どもたちに教えるなんて…。 幸いなことに,私の場合,授業が始まると「スイッチ」が入って人間が(少し)変わる。 それでも,動揺は隠せたが落胆は隠せなかった。 夜,高校生から少し厄介な相談事が。 すかさず,「うん,わかった。師匠(ウロコ先生のこと)に相談してみるよ」といつもの調子で応答してしまった。 その上,授業終了後,受話器を取って師匠の塾に電話を掛けようとしているではないか! 我ながら,マヌケなヤツだと自嘲。 同時に,今までいかにウロコ先生を頼っていたかを痛感し,自分が嫌になった。 それまで,割と好き勝手に事を進めていけたのも,ウロコ先生がいつも陰で支えてくれているという安心感があったからだ。 これからは…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年04月09日 22時39分49秒
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