オーチャード・バレエ・ガラ
オーチャード・バレエ・ガラ2日目を観に行ってきました。世界バレエスクールフェスティバル風で、各国の色が出てとても豊かな時間に。クラシック、コンテンポラリー、民族舞踊を感じさせるものなど、様々。子どもに無理させない演目で、皆、丁寧な踊りが好感持てました。この公演は、世界レベルでスターダンサーかつカンパニー主宰かつ劇場芸術監督かつバレエスクール主宰かつカリスマ性のある熊川哲也でなければ実現できなかったと確信しています。日本のディアギレフ的佐々木忠次亡き後、熊川の存在は稀有であることを示した出来事になったといって過言ではないと思います。以下、個人的な感想。オーストラリアン・バレエの「海賊」パ・ド・ドゥは、アリエル・ミラレスが堂々たる演技で魅せる。アダージョだけだったが、残りも見たいと思わせた。カナダの「ラ・フィーユ・マルガルデ」は、まだまだ「生徒」らしさは抜けないものの、ジェイソン・チェンのしなやかな踊りに将来性を感じた。同じカナダでも「three image of hope」はジェネヴィエーヴ・ペン・ナビティの切れと表現力に見とれる。ほかにコンテンポラリー系では、ハーグの「無言歌集」がメンデルスゾーンの音楽を生かしてgood。オーストラリアン・バレエの「VITAE」では、ジェイコブ・デグルートが印象に残った。キリアン作品「evening songs」(ハーグ)やノイマイヤー作品「バッハ組曲2」は、まだ生徒たちが作品の真髄にまでは到達していない感あり。しかし荒削りながらも所々ハッとさせたのが、アレッサンドロ・フローラ(ハンブルク)。スクールの頃からこうした作品を繰り返し触れることで、いつかは現在来日公演で見せてくれるハンブルクバレエ団のノイマイヤー作品「ニジンスキー」のレベルに到達する一里塚となる。そこが、バレエ団付属のスクールの良さだろう。ウィーンは、この公演のために新たに3作を書き下ろしたという。子どもたちの特性を生かそうという愛情に満ちていた。年齢的にも、他スクールが17〜最高21歳であったのに対し、ウィーンは15歳〜17歳と幼さが際立った。派遣した生徒の年齢構成にもスクールの考えが見えて興味深い。完成度、という点では、やはりワガノワは飛び抜けているなと。「フローラの目覚め」のマリア・ホーレワ、「人形の精」のマリア・ペトゥホーワ、ホルヘ・パラシオス、ラスムス・アハルグレン、素晴らしかった。