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カテゴリ:バレエ・ダンス
私は見ていないのですが、
いつも立ち寄っているdolce vitaさんのブログを読んでいて、 紹介されていた井脇幸江さんのサイトにまわったところ、 非常に衝撃を受けました。 バチルド姫というのは、 ジゼルが愛したアルブレヒトの婚約者です。 狩りの途中に立ち寄った田舎家で、 純朴なかわいい百姓娘に情けをかけてやったのに、 あろうことかその娘(ジゼル)が、 自分の婚約者を「私のいい人」と主張して譲らない。 婚約者アルブレヒトの不実も不実だけど、 目の前でさっき対面したばかりの愛人(?)ジゼルが死んでしまうというのは、 自分に一点の非もないとはいえ、 なんと寝覚めの悪いことでしょう。 親が決めた婚約者に想う女性がいた、という構図は、 「ラ・バヤデール」のガムザッティと同じ。 (ジゼル=ニキヤ、アルブレヒト=ソロル) けれどバレエ的には、 ガムザッティにはソロルとのパ・ド・ドゥとか3人での踊りのからみがあるけれど、 バチルド姫はバレエの踊れる恰好で登場しません。 出番も1幕の最後だけで、歩くのとマイムがあるだけです。 その上観客は、 ジゼル、アルブレヒト、そしてジゼルの幼馴染みでジゼルにホの字のヒラリオン、 こちらのほうの三角関係に集中していますから、 バチルドのことなんか放りっぱなし。 どうせ親同士が決めた政略結婚なんだし、 鉢合わせしたのは不幸だけど、 愛人を囲うなんてそう珍しいことじゃない、くらいに なーんとなくスルーしてしまうわけです。 ところが井脇さんは ヨハン・コボー扮するアルブレヒトに強烈な拒絶と決別のまなざしを受け、 バチルド姫の心の混乱を実体験した、というのです。 くわしくは、彼女の書いたものを直接読んでもらいたいですが、 私は名優ローレンス・オリヴィエの言葉 「(舞台上では)三番槍の持ち主には、三番槍の人生がある」を思い出しました。 舞台上の人物1人ひとりに、人生があり、ドラマがある。 それらがからみあった名作だからこそ、 また、これを理解し、受け止め、表現する人々がいるからこそ、 何百年も人の心を動かし続け、長く演じ続けられているのだと 改めて思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.09.12 11:40:26
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