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抗癌剤が確定してしまったので、当時通っていたフィットネスクラブに、カミングアウトすることにしました。
髪の毛が抜けて掃除が大変になるからと、フロントの係りに泣きながら言いました。この頃はまだ、心がサカむけになっていて、病気のことを言うたびに泣いていたのです。 「気にしなくて大丈夫ですよ」 そう言ってくれました。他の2,3の知り合いにも泣きながら声を掛けました。 「私、癌なの!」 「えっ、あなたのご主人が癌!」 「違う、癌はあたし、あたしよ!」 むこうからランニング仲間の男性が来ました。 「しばらくどこに行ってたの?」 そういうので、 「私、癌で手術したの!」 「えっ、腰の手術?」 「違う!癌よ、乳癌」 「ひざの手術?」 「…」 ことほどさように私は元気な、にょしょうでした。 とうとう抗癌剤初日がやってきました。 まず、抗癌剤を点滴する前に白血球や、好中球が一定量あるかを検査します。もしそれで一定レベルに達していなかったらその日はそのまま帰るのです。ストレスの多い毎日を送っているのできっと白血球が少なくなっているのではないかと期待していたのですが検査はパスしてしまいました。 2時間も待たされてしたくもない抗癌剤を点滴します。リクライニングの椅子に、テレビが一台ずつ設置されていて見たい番組を自由に見ることができます。 くうみんの場合午後の予約が多くて2、3時間待つと、4時くらいになります。この時間は夕方の情報番組が各局目白押しです。その中のお気に入りを見て、4時45分になると水戸黄門にチャンネルを変えます。すると、ちょうど助さん、格さんが 「このお方をどなたと心得ている!」 という例の場面になるのです。この時代劇はストーリーが全くわからなくても楽しめる不思議な番組ですね。 さて、本題に戻ります。抗癌剤の副作用は一番初めが一番気持ち悪くなります。しかもその日ではなく、2,3日経ったときが一番苦しいです。どんな感じかというと、二日酔いですね。あれが2,3日続くと思えばよろしい。普通の二日酔いはせいぜい午後までなのに、2,3日続くのは結構大変です。 でも、2回め、3回めとやっていくうちに体が慣れるのかせいぜい焼き芋を食べ過ぎて少し胸焼けがするという程度になります。 髪の毛は2週間程度経ってから抜け始めました。ランニングマシンで走っていると頭がむずむずするので髪を引っ張ると、何本か束になって抜けていました。さあ、来たなと思いました。 そのうちに地肌が見えるくらいになり、やがて完璧ハゲになりました。普段はバンダナや帽子で隠しますが風呂に入るときははずします。すると事情を知らない人はぎょっとなって後ずさりします。でも、皆、そのうち見慣れてあの人のは伝染病じゃないから大丈夫、みたいな雰囲気になりました。この頭で温泉にも行きましたがあからさまな視線は感じませんでした。みんないい人です。
最終更新日
2011.02.13 13:49:57
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