【追記】No.1
ヒナのサンルームはぽっかぽか。
聖バレンタインデーの安眠でおます。
古いCD-Rを処分しようと整理していたら、数年前に自分でアナログLPからデジタル化したホン・ヨンウンのアルバムが出てきた。
失くしたものだと思っていたので、嬉しい。
二十年前のまっすぐな若者の声が聞こてきた。
♪ ミシンの音が ギシギシギシ
♪ シンナーの臭いが 鼻にしみるよ
♪ お前もおいでよ 俺の町へ
(俺の町)
ギター、ベース、ドラムは、あのアナーキーの三人。
これにTHE CONXのロケット・マツとスマイリー松本、一曲だけ友部正人がブルース・ハープで参加している。
A面は4曲目の「おいらトラックの運転手だったんだ」まで、一気に駆け抜けて、プツンとカットして終わる。
♪ 法律さん 法律さん おれも生きてるんだよ
♪ 法律さん 法律さん おれも人間だぜ
(おいらトラックの運転手だったんだ)
B面1曲目は傑作レゲエ「緑の国」。
中川敬が「極東戦線異状なし!?」で歌うように、「ブッシュやシャロン」は「ゴロツキ」だ。
停戦宣言の翌日に、ガザ地区南部のパレスチナ自治区ラファでは二十歳の青年が銃撃で殺されている。
♪ やさしいお前が 手をあげたとき
♪ マスコミの奴ら お前をこきおろし
♪ 何も知らない人達 それを信じて
♪ そうさ どこも同じさ 力が全てだぜ
(緑の国)
殺されたのは、このレコードが録音された頃に生まれた若者だ。
ホン・ヨンウンの祈りはパレスチナに届かない。
♪ 生きのびておくれよ 砂漠の男たち
♪ 生きのびておくれよ 砂漠の女たち
♪ 生きのびておくれよ 砂漠の子供たち
♪ 生きのびておくれよ 緑のパレスチナ
(緑の国)
遠いパレスチナの平和を願いながら、でもホン・ヨンウンが歌うのは大阪の町。
夜勤帰りの朝、家でコーヒーを飲んで、逃げ出したくなる現実に吠える。
本当にがなるように歌うのだ。
♪ つらい思いをするために
♪ 生まれたんじゃないだろ
♪ 家族や町のせいにして 幸せになれるかよ
♪ ここは大阪 おれが生まれた町だぜ
♪ 立ちどまってみても 誰も 答えはくれないぜ
(雨の朝)
ラストが静かなパンク。
ペンキにまみれた父の姿を歌う。
仕事帰りの一杯呑み屋で、小さなヨンウンはピーナッツをかじりながら大人の話を聞く。
「それが 今の 俺の歌なんだ」
♪ どれだけの人に会い どれだけ 泣いただろ
♪ 酔えばすぐに 大きな声になる
♪ どれだけの人に会い どれだけ 笑ったんだろ
♪ 日本語では しゃべれない 夜もあったんだ
(親父の唄)
先日も書きましたが、オフィス・ホンが活動していることがわかったので、私がこの音源を配付することは致しません。
ビデオ『ホン ヨンウン ライブ ~歌は風みたいさ~』を買ってください。
→ホン・ヨンウンはまっすぐだった
ホン・ヨンウン『雨の朝』
SIDE A
1. 俺の町
2. おまえが欲しいのに
3. 抱きしめたい
4. おいらトラックの運転手だったんだ
SIDE B
1. 緑の国
2. I'm a man
3. 雨の朝
4. 親父の唄
作詞・作曲:ホン・ヨンウン
レコード解説:中川五郎
藤沼伸一:E.Guitar, Harp(A-3), Chorus
寺岡信芳:E.Bass, Chorus
小林高夫:Drums, E.Drums, Conga, Chorus
ロケット・マツ:E.Piano, Organ, Chorus
スマイリー松本:Sax, Chorus
友部正人:Harp(B-4)
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