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テーマ:本のある暮らし(3187)
カテゴリ:日々の読書(学術・教養)
サンカとは、かって山野を渡り歩いていた、非定住の職能民集団のことである。昔読んだ五木寛之の小説「戒厳令の夜」にも出ていた。(だいぶ昔に読んだので内容はすっかり忘れてしまったが) この他にも、五木氏は、「風の王国」という作品を書いているらしい。萩原健一が主演した映画「瀬降り物語」は、彼らの生活を描いたものとして有名である。
三角寛は、このサンカの研究で知られ、その後のサンカ像の形成に大きな影響を与えた。三角は昭和40年、朝日新聞社から「サンカの社会」と題する一冊の研究書を出した。この本は、彼が、東洋大学に提出した博士論文の骨子版である。三角は、この研究により、東洋大学より、文学博士の学位を授けられている。 「サンカの真実 三角寛の虚構」(筒井功:文春文庫)は、三角の研究の虚構性を徹底的に暴くことを意図して書かれたものである。この本によれば、三角のサンカ研究は、かなりの部分が捏造であると言う。一例をあげれば、資料として使われている写真について、写した時も場所も、写っている人についての記述も、まったく事実と違うと言う。さらに、資料写真を撮るときには、三角が持参した着物を着せ、道具を持たせるような演出までもしていたというのである。 以前「論文捏造」という本についてこのブログで紹介したが、これが事実なら、三角の著作は、これに勝るとも劣らない大捏造であろう。筒井氏の本は、証拠をきっちり示して、それを証明しているように見える。 ↑読書に関して参考になるブログがたくさんあるよ。 「サンカの真実 三角寛の虚構」(筒井功:文春文庫) 「五木寛之を読む」(山川健一 :ベストセラーズ) 風と雲の郷 別館(gooブログ)はこちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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