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カテゴリ:日々の読書(ミステリー)
おなじみ、高田崇史のQEDシリーズの最新刊。収録されているのは表題作の「白山の頻闇」と「江戸の弥生闇」の中編2編。それぞれ描かれるのは白山信仰と菊理媛神および江戸吉原と勝山太夫の謎。これに現実の事件を絡めるのはいつもの通り。 〇白山の頻闇 桑原崇と棚旗奈々は、結婚した奈々の妹沙織の誘いで金沢へ赴く。金沢には、菊理媛神の元締めともいえる神社があるので、今回タタルは乗り気だ。それにしてもまだ二人は結婚してない。このままの関係がずっと続いていくんじゃないかな。 ところで、菊理媛神とは、日本書紀に1行だけ出てくる謎の神様だ。黄泉の国から逃げかえるとき、黄泉平坂で伊弉諾尊は追ってきた伊弉冉尊と争っているときに、菊理媛神が突如現れ、何かを言い残して去っていく。 奈々は、巻き込まれ体質で、タタルとどこかに行くたびに事件に巻き込まれるのだが、今回は詩織の夫が事件に関係してくる。 しかし、こんな理由でこのような事件を起こす人間が今どきいるかは疑問だ。どこかのカルト宗教ならわからなくもないが。 〇江戸の弥生闇 こちらは、奈々が明邦大学に入学したころの話だ。。友人につれてこられたオカルト同好会に桑原崇がいた。学生時代からかなりの変人だったようだ。この話のテーマは吉原、男の極楽、女の地獄、そしてもれなくビョーキ付きのあそこだ。そこで一世を風靡したという勝山太夫、その真実に迫る。これに近くの高級マンションで起きたという自殺事件の真実を絡めた作品だ。 白山神社は、菊理媛神という女神を祀っているはずなのに雄千木になっているとか、怨霊は真っ直ぐにしか進めないので、怨霊を祀っている神社は参道が真っ直ぐになっていないとか、こういった蘊蓄がだんだんとついてくるのもこのシリーズの特徴だろう。 ※初出は、「風竜胆の書評」です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 11, 2018 11:36:00 AM
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