「Different Gear Still Speeding」/Beady Eye 全曲レビューその2
というわけでまさかのその2!このブログ文字数制限なんてあったのね、とちょっとびっくりしました…Beady Eye全曲レビュー続きです。歌詞引用などでネタバレ含まれますので、まだ聴いていない!という方はお気をつけ下さい!それでは参ります。08.KILL FOR A DREAM(Andy)アンディ作。というかついタイトルに「Dream」がつくと全部アンディの曲と疑ってしまいたくなるほど、アンディの作る曲には「Dream」が多い!Ride時代も、Hurricane#1時代も、勿論OASIS時代も含めて。本人もインタビューで「Dreamを使いすぎてないか、頻繁に確認してるよ」って言ってましたが全然確認できていないようですね(笑)!それにしてもこの曲は前奏が終わってアレックス・ロウの声が続いても自然なくらいHurricane#1を思わせるアンディらしい曲調だと思います。というわけで、アンディの夢って何なのでしょうか?I'd kill for a dream tonight (夢のためなら命を奪いもするだろう、今夜の俺は)アンディにここまで思わせる、夢とは?残念ながらその正体は掴めませんが、ベースからギターに持ち替えた今、彼の夢が一歩、彼に近づいているのではと思ってしまう私。穏やかで、優しそうに見えるアンディ、自分の夢にはとっても貪欲であり続ける彼の姿がここではっきりと見えた気がします。09.STANDING ON THE EDGE OF THE NOISE(Gem)ゲム作。これもOASIS時代に存在していた曲ですね。「Get Backか!」と突っ込みたくなるほど一部分がかなり似てますが、とっても好きです。ええと、これ、なんていうんですか、声に曇りをかけているような録音の仕方(爆笑/なんていうのかわからない!)!こうやって聴くリアムの声も新鮮ですね。Standing on the edge of the noise(俺の立ち位置は騒音のギリギリ手前)←和訳原文ママという超絶な直訳に少しだけ笑ってしまいました(笑)これはゲム本人も言っていましたが、大きなスタジアムで大勢の観客の前に立って声を張り上げているリアムを想像して書いた、と言っていたとおりのタイトル。なのでここで歌われている「ノイズ」は、ごく一般的な迷惑な「騒音」ではなく、歓声と楽器のぶつかるところ、リアムはその「ノイズの崖っぷちに立っている」ということなんですね。「リアム見参」と副題をつけたいほどの大胆不敵なギターのサウンドがたまらなくカッコいいです。10.WIGWAM(Liam)リアム作。以前ブログにリアムが「超レノン」な姿を見せてくれるのが楽しみ、と書いたような気がしますが、これはまさに「超レノン」。ちょっとサイケデリックな感じもまたいいです。この曲に限ったことではないですが、このアルバムではリアムの歌声がかなり多彩な表情を見せてくれていると思います。繰り返される「Sha Lala…」という歌声と、何よりこの曲後半のリアムのファルセットは綺麗です。「ウィグワム」とはインディアンたちが住んでいた布を重ね合わせて作ったテントのような住居のことのようなので、リアムの中では「HOME」と同義語でしょうか。そのせいか、やっぱり暖かい、優しい愛に溢れた曲に聴こえてしまいます。Where I can see way beyond the starsSo my friends,what's it to be?Open up your armsI coming up…(星たちのずっと向こう側が見渡せるところへ友よ、さあ、お前はどうする?両手を広げなよ俺が、そっちへ行くから)うん。優しい歌詞です。「HOME」って、使い古された言葉を使わないところもリアムらしくていいですね。11.THREE RING CIRCUS(Gem)ゲム作。これはゲムさんあれですね?「Three ring」は「thrilling」とかけてるんですよね?といわけでここで前半の「WIND UP DREAM」とこの曲のちっちゃな共通点をば。Feel alive,Out on a limb,Same way as upI wanna be what we as people should be,And I wanna see what's not shown(生きているって実感するね、危険を冒すっていうのは上を目指すのと同じだ人として、あるべき姿で俺はいたいそして、見たいんだ。見せてはもらえないものを)「WIND UP DREAM」では、「目を閉じて見えるものが見たい」この曲では「見せてはもらえないものが見たい」実はヘヴィ・ステレオ時代に作った歌にも同じような歌詞があったり。アンディと同じで、ゲムもずっと昔から思っていることなのかもしれません。なにかまだ、現状には満足せず、自分が見える範囲外の、もっと違う世界が見たいとずっと思っているんでしょうか。ずっと冒険していたいのかもしれません。Make it home In this three ring circus going round(そこが俺の居場所ここはサーカス)12.THE BEAT GOES ON(Andy)Andy作。これはもう、語ることがありません。文句なしに良いです。Twitterで色んな人の曲に対するコメントを見ましたが、この曲の反応がダントツでよかったと思います。アンディ、やりやがったなーと、うまいツボをぐいっとおしてきやがったなーという感じです。メロディも、歌詞も、歌声も。アルバムは買わない方でも、ぜひこの曲だけは聴いて頂きたいくらい。歌詞の表現もアンディらしく、綺麗で、詩的です。ちょっとたくさん引用したいんですが、この曲は引用しません。「So long SO long…」と、きっと口ずさみたくなるはずです。とにかく、リアムの声が素晴らしいです。「For Anyone」よりもまた優しい、慈愛に満ちた声。リアムのこんな声が聴けるとは思っていませんでした。そして、この曲はアルバムのラストを飾るには最高の一曲だったはずです。でも、これで終わりではないんです。次が、最後の一曲。13.The MORNING SON(Liam)リアム作。申し訳ないけど、これはもうそうとしか考えられないので誰になんと言われようと、リアムに怒られようと、言わせていただきます。…どーーーーしても…私にはノエルに向けた曲にしか聴こえません。So let it be,and given timeYou go your way,and I'll go mineI stand alone,nobody knowsThe morning son has rose(なるようになるよ、そのうちにお前はお前の、俺は俺の道を行くひとり佇む俺に、誰も気づかない朝日はもう昇っているのに)タイトルを見て、リアムの曲だと知った瞬間にうわーと思いました。このブログでも何度か書いたのですが、「朝、目覚めるということが人生においてとてもすばらしい」「生きていると実感する」と言っていたノエル。そう言っていたのは、リアムではなく、ノエルだったのです。仲間に囲まれているとはいえ、大事な半身を失くしたままのリアム。朝目覚めて、今自分は一人で立っていることに気づく。でもそれは終わりでも絶望でもなく、素晴らしい「はじまり」の朝なのです。きっと。He's in my mind,he's in my soulHe's even in my rock and roll(あいつは俺の心の中に、俺の魂の中にいる俺のロックンロールの中にさえ、あいつはいるんだ)対象が「You(お前)」でも「She(きみ)」でもなく「He(あいつ)」なのが、何よりの証拠のような気がします。このメッセージはきっと、ノエルにも届いていると、そう思います。…というわけで終わりです!このあと国内盤のトラックには二曲ボートラが入っています。あー長かった。曲によって内容がなんかおかしかったりするのは見逃してください。特にゲム曲に関してはもうなんの言い訳のしようもありません(笑)。でも、思ったことを書きました。これはあくまで、ファーストインプレッション。きっとこれからまた、彼らのインタビューを聞いたり、曲を聴きこむことで考えはいろいろ変わってくると思います。とにもかくにも、本当にいいアルバムでした。万人に好かれる、世界から好評価を受ける、ということは彼らにとっては大切なことかもしれませんが、それよりも。どう考えてもこのアルバムの曲がモロに好みでありそうな「あいつ」がこのアルバムを聴いて、何かを感じてくれることのほうが大切のような気がしたり。というわけで、次にレビューをするときは焦らしに焦らしまくっている「あいつ」のソロ曲であることを祈っております。