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2023.02.21
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カテゴリ:話題・情報

♪ エコ、エコとエコーはエゴの響きして微生物にも手を借りにゆく


 今、アメリカで画期的な遺体の埋葬方法が注目されている。ワシントン州では19年に「Natural Organic Reduction(自然有機還元葬)」と定義し、20年5月に施行した。この葬法を「ヒューマン・コンポスティング(人間の堆肥化、堆肥葬)」とも呼ぶ。

 その仕組みはこうだ。(朝日新聞 GLOBEより)
 金属製の六角柱の中に「筒型の還元葬を行う装置」が収まっている。その容器中に、最適な比率に計算されたウッドチップやアルファルファ(糸もやし)、わらを敷きつめた棺に遺体を安置し、上からもわらなどで覆って装置に収める。



 すぐに微生物が分解を始め、およそ一日で内部の温度は約65度まで上がる。コンピューター制御で内部の空気を循環させ、温度や湿度を管理する。しばらく高温が続き、この間に病原菌は死滅する。
 1週間ほどで温度が下がり始めたら、隅々まで酸素が行き渡る様に超低速で数時間、筒型の装置ごと回転させる。
 1カ月ほどで柔らかな土と骨だけになり、体積は約3分の1になる。骨は機械で細かくした上で土に戻す。約1立法メートルの容器に移し、2~4週間ほど乾燥させる。

「人工的に熱を加えてり、内部をかき混ぜたりはしない。微生物の力だけで、自然な形で土に還る。」のだという。余分なことは一切せず、微生物が完璧に安全で肥沃な土にして大地に還してくれる。

 生物はみんな、生きている間は大いに微生物のお世話になり、死んだ後にも微生物のお世話になるわけだ。完璧な処理をして、元の元素の戻してくれる。エネルギーの消費も必要なく環境を汚すこともない。何て理想的な、究極の死後の在り方だこと。

一つの遺体からできる堆肥の量は、荷車2台分ほど(遺体の大きさにもよる)らしい。

 家族らは一部を手元に残したり、庭で木や花を育てたり、保護林へ寄付することもできる。
 北米の従来の土葬は、防腐処理(エンバーミング=土壌汚染のもと)して木や金属の棺に納め、コンクリートや金属で土中を補強して埋葬する。遺体は長い間腐らず、土中には木や金属が埋められて環境にも悪い。火葬にすれば化石燃料を使い、二酸化炭素を放出する。それをなんとか出来ないかと考えて生まれたのが、この「ヒューマン・コンポスティング(人間の堆肥化、堆肥葬)」。



 この会社「リコンポーズ(Recompose)」は20年12月以降、2,000件超の埋葬をおこなっている。基本料金7,000ドル(約90万円)350ドル追加すれば装置に収める前の葬儀もできるという。

 シアトルにも還元葬を行う会社「リターン・ホーム」があり、装置はもう少しコンパクト。上開きの業務用冷蔵庫のような形で、そのまま棺になる。3段の棚に並びコンピューターで管理する。必要なのは空気を循環させるわずかな電気だけ。
 この会社では、装置の中で分解が進む約1カ月の間、家族や友人の訪問を歓迎している。装置のそばに椅子やテーブルを用意して音楽を流し、森をイメージしたパネルを設けたりしている。

 還元葬は、コロラド、オレゴン、バーモント、カリフォルニア、ニューヨーク州でも合法化されている。

「あらゆるものが急ぎ足の今日の世界で、ゆっくりと土に還るということ。それがただ美しい」
「私の望みは土に還ること。その時点で私は無くなる。土を家族や友人がどうしようと、私は幸せ」と、契約者は言う。
 リコンポーズの生前契約者1,200人のうち、50歳以下が4分の1を占めるという。貧富に関係なく、リベラルも保守も、カトリックもユダヤ教徒もいる。信仰や信条と「自然に還る」という考え方は共存できる・・。


 日本ではどうか。このニュースが流れた後にTwitterなどでも議論が交わされ、「日本には馴染まない」という反対論者が多かったらしい。散骨でさえ禁止をする自治体があるくらいで、遺体が源となった堆肥を農園や菜園に撒くのは抵抗があるだろう。でも、保護林へ寄付するというのなら受け入れられるだろう。
 日本人の死生観が変わってきたものの、死者や遺体に対する畏れや穢れというイメージは根深いものがある。しかし、「墓終い」や「散骨」、仏壇を持たない家も増えている。先祖に囚われたくない、血と地に束縛されるのを嫌う人も傾向もある。

 日本において「自然還元葬」が合法化される可能性は、あるのかないのか。私は、心情的には大いに有ると思う。ただ、世間体とか常識という呪縛に囚われている人がまだまだ多い。何かのきっかけで、急速に舵を切る可能性はある。
 まさにエコ。生態系・生態「ecology」そのもの。SDGsの一端を担うことでもある。

 様々な分野、状況で、世界から取り残されている現状がようやく認識され始めている。表面的で口だけ、イメージだけのグローバルが、本当の意味の持つものへ移行していく過渡期にある。

 政治、経済、社会、生活の中で、ガラパゴスな世界から脱出する機運が盛り上がる時が必ず来る。団塊世代が生きている間に起こるのが理想だろうが、時期はまったく読めない。





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最終更新日  2023.02.21 11:58:27
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◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
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