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  皮膚科医独身の ”こだわり” ブログ

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2007.10.14
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カテゴリ:政策について
 最近、『介護型療養病床(13万床)は2011年度末までに全廃、医療型療養病床(25万床)も12年度までに15万床にまで減らす』との記事があったり、政治家の討論で話題になります。

 この『療養病床』についてまとめてみます。

 制度的には医療現場に関与していたり、身内に介護保険を必要とするお年寄りがみえなければさっぱりわからないのでしょうか。 実際、制度的に歴史も短く(医療政策で現場が右往左往させられているともいえます)医療関係者でも正しく説明できる人は少ないと思います。


『療養病床』の歴史

平成4年の医療法改正

 入院病床に一般病床と区別して「療養型病床群」という制度がスタートました。 「療養型病床群」とは「病院または診療所の病床のうち、主として長期にわたり療養を必要とする患者を収容するための一群の病床で、人的・物的に長期療養患者にふさわしい療養環境を有する病床群」であると定義されていました。

平成13年3月第4次医療法改正

 病院の入院ベッドは結核病床、精神病床、感染症病床のほかに、主に急性期の疾患を扱う「一般病床」と、主に慢性期の疾患を扱う「療養病床」の二つが新たに定義され、病床の区分を通じて病院の機能の違いが明確にされました。その上で、各病床(病棟)ごとの構造設備基準や人員基準があらためて決められました。「療養型病床群」は『療養病床』に名称変更されました。

平成12年4月の介護保険法

 保険請求については平成12年4月の介護保険法の施行により、従来からの医療保険の対象となる病棟と、介護保険の対象となる病棟のいずれかに区分されることとなっています。 従って現在「療養病床」とは、医療保険の医療型療養病床と介護保険の介護療養型医療施設の2つの施設を指すことになった。 従来からの医療保険の対象となる病棟『医療型療養病床』と、介護保険の対象となる病棟『介護療養型医療施設』のいずれかに区分されることとなった。


厚生労働省の方針

『介護型療養病床(13万床)は2011年度末までに全廃、医療型療養病床(25万床)も12年度までに15万床にまで減らす』との方針が示されています。 前述の、医療保険の対象となる病棟『医療型療養病床』を全廃、介護保険の対象となる病棟『介護療養型医療施設』は15万床にまで減らすとの方針がしめされたわけです。

『新型の老健施設』

 減らされる『医療型療養病床』『介護療養型医療施設』は『新型の老健施設』への転換が求められています。 『新型の老健施設』は、医療機関が療養病床を転換した後の入院患者を引き続き受け入れることが期待されている。 介護保険が適用されるが、24時間看護やみとりなど医療面でのケアも残すためリハビリを中心とした既存の老健施設より、報酬上評価されることになっている。しかし、”既存の老健施設”といわれても『老健施設』がわかりませんよね。現在の介護保険が適用される施設をまとめてみます。


介護保険が適用される施設

(1)65歳以上の常時介護を必要とする人が対象の「介護老人福祉施設」(特別養護老人ホーム)
(2)入院治療の必要はないが、リハビリ・看護が必要な人を対象とする「介護老人保健施設」(老健)
(3)病状が安定期にある要介護者に、介護等の世話や機能訓練などを行う「介護療養型医療施設」
 の三つがあり、これらは、地方公共団体や社会福祉法人によって運営される特定施設となります。

(1)「介護老人福祉施設」(特別養護老人ホーム)は、希望者は自由に申し込めるものの、一般的に入居待機者が非常に多く、入居待ちの期間も長期化することが普通です。 また入居の決定においては、入所の必要性が高い人・緊急性が高い人が、優先されます。
(2)「介護老人保健施設」(「老健(ろーけん)」と略称されます)は、リハビリによる在宅復帰の支援を基本的機能としており、3ヶ月ごとに入退所の判定が行われ、そこで入所を継続するか、それとも帰宅となるかが判断されます。入居期間も最大半年程度に限られ、いずれは退所が必要になるのが、「老健」です。
(3)の全国に12万床あるといわれる「介護療養型医療施設」は、介護保険が適用される、介護と医療の両方を必要とする高齢者が、長期療養のために入所する施設です。
今後は、新しい区分として『新型の老健施設』が新設される方向です。


『介護型療養病床(13万床)は2011年度末までに全廃、医療型療養病床(25万床)も12年度までに15万床にまで減らす』はどんな問題を生むのでしょう

(1)厚生労働省の計算

現在約36万床ある療養病床を2012年度末までに医療型のみ15万床に減らし、残りはコストが低い老健施設などへの転換を促すことで、医療給付費を4000億円削減。逆に介護給付費は1000億
円増えるが、3000億円の歳出削減効果があると試算する。

『医療型療養病床』   医療保険    病床減少
『介護療養型医療施設』 介護保険    病床廃止
    ↓
『新型の老健施設』   介護保険    新設
(但し報酬は従来の『医療型療養病床』『介護療養型医療施設』よりかなり低いと予想される)

(2)地方自治体の負担

『医療型療養病床』は医療給付費に占める負担割合は都道府県が7・7%で国は30・7%。
これに対し『新型の老健施設』は、介護保険給付費に占める割合が都道府県17・5%、国20%となっており、転換の進展具合によっては、地方負担が現状より増える可能性がある。





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最終更新日  2007.10.14 10:58:10
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