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カテゴリ:時間マッチ
やけに狭いな、
それに、まぶしすぎる。 窓? か? いびつな四角に切り取られた曇り空。 下半身に何か、生暖かい感触。 身体を動かそうとしたが、動かねぇ。 邪魔なのはコイツか、つっかえてやがる。 ハンドルだ。 コイツがつかえていて、思うように動けネェ、、 いや、アレだ。 狭い理由が分かったぜ。 車の中だ。 ひしゃげた車に、はさまれてるじゃないかオレは。 脇を見ると、靴が有った。 誰んだ? オレの靴か? きっとこうなっちまった時に、 脱げちまったんだなぁと思ってよく見ると、 靴の中には、クルブシが見える。 ちゃんと中身が入っているじゃねぇか。 しかしその靴がだ、オレの足をどう曲げても アリエナイ場所に、置いてあるのは、どうしてなんだぜ? オレはオレが知らない間に、 何かヤバイことになってるらしい。 それにしてもさっきから下半身が、 イヤに生あったかいのが、気になるぜ。 運転席側の、ドアとの間に、少し隙間があったんで、 手を突っ込んでみる。 ヨカッタ、手は動くらしい。 ちょうど手を入れた場所に、ポケットがあったんで、 中を探ってみると、やけにヌルヌルする。 何か固まりを掴んだんで、ズルリと奥から、引きずり出すと、 赤い。 肘から先が、赤いな。 生あったかいのは、コイツのせいか。 ポケットから引きずり出した塊は、 あまりに血でベトベトだったせいで、 ソレが、タバコだと分かるのに“少し”ヒマが掛かった。 かなりの出血のはずだが、不思議と痛くない、 感じるのは、生暖かさと、 ドクン、ドクンと、脈打つ感覚。 真っ赤んなったタバコのパッケージから、 ましなのを一本見繕って、 一緒に出てきた100円ライターで火を点けようとしたが、 こうベトベトじゃ、くすぶりもしない。 やれやれ……。 どうしたものか。 ふと顔に何か、冷たい感触が。 雪か? 妙に風通しの良くなっちまった、正面の窓から、 雪がふわふわと車内に、舞い落ちる。 体が、だるいぜ。 それに、眠い……。 なんかもう、何もかもが、 どうでもいい気がしてきたぜ? このまま、ずーっと眠っているのも悪くないな。 眠いぜ、ほんと、ネムイ……。 もう、アレだ、 全部、何もかも終わりにしても、 オレは、一向に、かまわない、 そんな、気がし・て・き・た・ぜ・・・ オレの意識が、途切れそうになった時、 強烈な痛みが、現実へとオレを引き戻す。 全身がイテェ。 めちゃイテェ。 イテェが、 イテェんだが、何か変だ。 さっきまでと様子が違うぜ? 周りが暗い。 目が慣れてくると、 いつものオレの部屋のオレの布団の中で、オレは横になっていた。 ……また、あの夢か、 上手く言えないが、 普通の夢とは、何かが違う夢。 最近あの夢が、一段とリアルさを増して、 時々だが、現実との区別が付かないことがある。 まぁなんにしろ夢か、ヨカッタぜ。 しかしだ、寝る前に、しておかなくちゃなんネェことがある。 オレは立ち上がって、部屋の電気を点け、 オレの足が、いつもの場所にあることを確認してから再び、 眠りに付いた。 変な夢を見た……。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月27日 21時55分03秒
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