『被害者』から『加害者』へ・・・
『ゴジラ』がまたハリウッドでリメイクされるんだね・・・前回はトカゲみたいなシルエットがなんとも迫力に欠けたその造形。今度は逆に鋭角的な部分が多くて、凶暴性を際立たせるようなデザインとなっている。ハリウッド版ゴジラの造形が獰猛すぎると話題にhttp://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1668289.htmlさぞ迫力ある怪獣アクション巨編となりそうな雰囲気を醸し出しているが、造形がややシャープすぎるのと、胴体に比した手足のバランスが整いすぎて、いささか“生物感”が足りない。いかにも中に人が入っているぞ、というフォルムだ。初代ゴジラがなぜ今だ語り継がれる傑作となり得たかというと、自ら放射能をまき散らすことで核兵器の脅威を体現しつつ、ラストで「オキシジェンデストロイヤー」によって白骨となり海底に沈む儚さで、被爆国たる日本の哀愁をも表していたからだ。少なくともこの新ゴジラからは、どんな最期を迎えようともそこに“儚さ”たるものは到底期待できそうにない。いや、よく考えれば…特に今年に入ってからの我が国は、被爆国であることはすでに忘却の彼方に置き去りにしてしまったように、福島第一原発から放出され続ける大量の放射能によって、全世界的な放射能加害国と成り下がっているではないか。我が国が生み出したゴジラなる大怪獣が米国に渡り、一片の哀愁すら感じさせない凶悪極まる姿に変貌したのも、ある意味無理のないことなのだ。最先端のCGなど駆使しながら、画面狭しと暴れまわるハリウッドゴジラ。しかしその姿は、ワタシが幼き頃見た、キングギドラやガイガンといった凶悪宇宙怪獣に立ち向かうヒーローゴジラには程遠く、また平成ゴジラや大きくなって見返した初期ゴジラから感じ取った“核の悲哀”なども微塵もない、ただ暴れるだけの巨大モンスターでしかないのだろう。喜ぶのは…まあハリウッドでやる以上、アメリカ人にウケれば御の字なのだろうか。なんとも寂しい話ではある…ぎっちょ