「ほどほど紀行」というサイトで、海外旅行記を書いている。
かなり以前の旅行記も、順次アップしているのだが、98年と99年の韓国旅行のところで筆が止まっている。(キーボードを押す指がストップしているというべきか?)
理由はわからない。とはいうものの、HPやブログは「勢い」が大事であり、いったん勢いが削がれると更新しない状態が続くものである。
閑話休題。
二回に渡る韓国旅行の内、98年の旅行(8月)では、福岡からジェットフォイルで釜山に上陸した。そして、百済の旧都扶余、公州を巡り、さらに半島を横断して江陵、統一展望台、慶州というコースだった。
国家破産し、IMFによる管理下に置かれるという屈辱から1年後の韓国。ロッテリアではIMFバーガーが売られるなど、悲惨な事態を楽しむ余裕も窺えた(マスメディアによれば、I 'M Firedと書いたTシャツも売られていたらしい) 。
少なくとも、街中を歩く限りは、人々は路頭に迷っていなかった。中継点の大田という街では、夜、まばゆいショーウインドーの光に照らされ、大勢の人が練り歩いていた。
ただ、どの街の観光地に行っても、客はまばら(統一展望台を除く)。
また、市バスには「IMF」の文字を含む注意書きがあった(おそらく、燃料費といったコストの節約に理解と協力を呼びかけるものだろう)。
98年当時の韓国(ソウルは行っていないので知らない)は、途上国と先進国の間という感じだった。
道端で野菜が売られ、それを若い女性が買い求めるという路上の風景。農協系(?)の銀行では野菜売りコーナーがあった。また、雑然とした街並みや、裏道に並ぶ古くてぼろい建物群・・・
とはいっても、あれから8年が経ち、日本人から見ると韓国経済は復興したかのようだ。サムスンは、日本企業にとって、脅威的なライバルであり、かつ材料・部品の有力な納入先である。ヒュンダイやLGも、日本企業を脅かす存在となっている。昨年訪れた中国やベトナムでは韓国製品ばかりだった。
韓国経済は、まさに絶好調のように見える。
しかし、韓国発のニュースも掲載しているライブドア・ニュースをみていると、韓国経済は決して良いとはいえないらしい。
ライブドア・ニュースが転載している朝鮮日報記事が、「韓国病」に触れていた。
「韓国病」とは、「企業家精神の喪失とそれに伴う企業投資の不振、成長潜在力低下、社会の二極化の深刻化など、今日の韓国経済が患っている病」のことを指すらしい。
国家破産、IMFによる管理を契機としたアングロサクソン流の市場経済原理主義の導入・定着により、「格差社会」がかなり進展しているようだ。サムスンをはじめ、多くの主要企業は外国株主が相当のシェアを占めているか、外資傘下となっているのだろう。
そうなると、韓国企業の上げた利益は、韓国民の末端には中々及ばず、富裕層や外国人に流れているものと思われる。
国家破産という衝撃は、その後の経済復興によってもカバーできないほど、韓国民の価値観を大きく揺るがしたと思う。
韓国の国家破産は、97年のアジア通貨危機が原因だ。この危機は、アメリカのヘッジファンドが引き起こしたものだが、クリントン政権下でのアメリカ政府・ヘッジファンド・格付機関の連係プレーには日本も苦汁をなめさせられた。「第二の敗戦」、「マネー敗戦」という言葉が流行ったのをよく覚えている。
つまり、韓国やアジア諸国の通貨危機の背景には、アメリカの政府や巨大金融資本の策謀があった(・・・すでに語りつくされているだろうが)。
それでも、日本による韓国侵略・併合の歴史に比べれば小さい!と言い返されるかもしれない。
しかし、日本の武力によるあからさまな侵略と、アメリカの資本による見えない侵略・・・
韓国民にとって、ほんとうに手ごわいのはどちらだろうか?