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《東京国際映画祭特集》
佐藤泰志の遺作 『海炭市叙景』文庫化 1990年に41歳で自殺した作家佐藤泰志の遺作『海炭市叙景』が、小学館文庫になった。集英社から91年に出た単行本は長く絶版だったが、作品の舞台になった佐藤の故郷・北海道函館市の市民有志の発案で映画化、今春、クランクアップしたのがきっかけだ。 作品は、海に囲まれた架空の地方都市「海炭市」の市井の人びとを描く18の短編からなる。佐藤は49年生まれ。東京の大学を卒業して30代に5度、芥川賞候補に。出身地を舞台に新しい作風を見せた短編は、文芸誌「すばる」で断続的に連載され、中断されたが、小さな物語が紡ぐ叙情が一部でファンを生み続けた。 函館の映画館主の呼びかけで市民の映画化運動が始まったのは、2008年暮れ。北海道出身の熊切和嘉監督が決まり、オーディションや函館ロケも。現在、作品は『佐藤泰志作品集』(クレイン)に収録。集英社からの文庫化計画はなかった。 映画スタッフがツイッターで、「どこかで文庫にしてくれませんか」とつぶやいたのを書評家の豊崎由美さんがリツイート(紹介)、それを函館出身の小学館の編集者が見て、とんとんと話が運んだ。 文庫は10月11日発行で、初版1万5千部。北海道から4500部もの注文もあり、すぐに5千の重版が決まった。文庫解説で、評論家の川本三郎さんは「この小説を読むと誰もが自分の住んでいる町と、そこで働きながら生きている人々のことを愛(いと)しくなるのではないか」と書く。 映画は11月から順次全国で公開予定。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.10.28 21:59:34
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