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テーマ:憲法議論(165)
カテゴリ:憲法
憲法は國家の基本法であるから、法學者は逆に、國家を定義して、法體系(ほうたいけい)の投影であると言ふ。現實(げんじつ)の新憲法下の日本を見る限り、正にその通りである。しかしながら、「逆モ亦眞ナリ」は成立しない。憲法の法理念體系が國家の投影であるか、といふのに新憲法はそのやうな確たる國家像を背後に持たず、國際連合憲章にすべてを委任する形で成立してゐるからである。ここに現行憲法の最大の問題がひそんでゐる。(「問題提起(日本國憲法)」:『三島由紀夫全集34』(新潮社)、p. 314) 日本国憲法とは、連合国最高司令官総司令部(GHQ)が主導して作成した「占領基本法」なのであって、1952年に日本がサンフランシスコ講和条約を締結し主権を回復した時点でこれを一旦廃棄するのが手続き上も必要であったと思われる。にもかかわらず、国家の基本を有耶無耶(うやむや)にしたまま今まさに70年が過ぎようとしている。結果、未だGHQ「占領基本法」による統治、それが戦後日本というものの実像である。 國家の基本法が眞に內發的なものであるならば、この「逆モ亦眞ナリ」は成立する筈であり、法體系の投影としての國家は、同時に國家の投影としての法體系を生み出し、合せ鏡のやうに作用する筈である。 確かに、明治憲法は、西欧に範を求めて制定された継受法である。その目的は、不平等条約を解消であり、治外法権を撤廃することであった。ために西欧式の憲法を採用したのである。が、形は西欧式であっても、中身は日本の國體(こくたい)、すなわち、日本の伝統文化を能(あと)う限り明文化しようと努めたのであった。 翻(ひるがえ)って、現憲法は戦前の日本的なるものを否定するために制定されたものである。二度と米国に歯向かわぬよう、日本を弱体化させるために作られたのが日本国憲法なのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.04.27 21:00:08
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