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照千一隅(保守の精神)

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「照千一隅(しょうせんいちぐう)」(一隅を守り、千里を照らす)は伝教大師・最澄の言葉。本を読み、考えたことをこのブログに書いて参ります。ご意見、ご感想など御座いましたら是非お寄せください。

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2023.01.03
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カテゴリ:歴史

歴史には意味がないという理論の代りに、無限の意味があるという理論が与えられ、どの意味が正しいということもなく、結局はどれも同じようなものだということになってしまいました。しかし、どう考えても、第2の理論も第1の理論と同様に支持し難いものです。見る角度が違うと山の形が違って見えるからといって、もともと、山は客観的に形のないものであるとか、無限の形があるものであるとかいうことにはなりません。

歴史上の事実を決定する際に必然的に解釈が働くからといって、また、現存のどの解釈も完全に客観的ではないからといって、どの解釈も甲乙がないとか、歴史上の事実はそもそも客観的解釈の手に負えるものではないとかいうことにはなりません。(E・H・カー『歴史とは何か』(岩波新書)清水幾太郎訳、pp. 34f)

 歴史とは、一歴史家による過去の解釈である。半ば必然的に歴史家が異なれば、過去の解釈も異なってくる。同じ対象であっても、見る条件、位置、角度などが異なれば、同じに見える訳がない。

But a still greater danger lurks in the Collingwood hypothesis. If the historian necessarily looks at his period of history through the eyes of his own time, and studies the problems of the past as a key to those of the present, will he not fall into a purely pragmatic view of the facts, and maintain that the criterion of a right interpretation is its suitability to some present purpose? On this hypothesis, the facts of history are nothing, interpretation is everything. – E. H. Carr, What is History?

(しかし、さらに大きな危険がコリングウッドの仮説には潜んでいます。もし、歴史家が、自分自身の時代の目を通して、自分の歴史の時代を見、現在の問題への鍵として過去の問題を研究するのが必然であるのなら、彼は、ただ実用的な事実観に陥り、正しい解釈の基準は、何らかの現在の目的へ適合することだと主張しないだろうか。この仮説では、歴史の事実は無であり、解釈がすべてなのです)― cf. 清水訳、p. 35

 何人(なんびと)たりとも時代の「理論的枠組み」(paradigm)を免れることは出来ない。パラダイムを通して物事を見ることによって、物事はそのように見えるのである。

《「パラダイム」とは、一般に認められた科学的業績で、一時期の間、専門家に対して問い方や答え方のモデルを与えるもの》(トーマス・クーン『科学革命の構造』(みすず書房)中山茂訳、p. v

《ある一時期におけるある分野の歴史を細かく調べると、いろんな理論が概念や観測や装置に応用される際に、標準らしき一連の説明の仕方が繰り返されていることに気付く。これらがその専門家集団のパラダイムであって、教科書や講義や実験指導の際に現われてくるものである》(同、p. 48


 パラダイムを同じくすれば、物事は同じように見える。が、現代における歴史のパラダイムは1つではない。多くの人々は、歴史に光を見ようとするけれども、歴史に闇を見ようとする人達も少なくない。革命を経、バラ色の共産主義社会を目指そうとする夢みる人達の存在である。






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Last updated  2023.01.03 21:00:08
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