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2007年10月31日
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カテゴリ:書籍



 
  また来ん春……


 
 また来ん春と人は云ふ  しかし私は辛いのだ
 
 春が来たつて何になろ  あの子が返つて来るぢやない
 

 
 おもへば今年の五月には おまへを抱いて動物園
             
 象を見せても猫(にやあ)といひ
             
 鳥を見せても猫(にやあ)だつた
 

 
 最後に見せた鹿だけは  角によつぽど惹かれてか
 
 何とも云はず 眺めてた
 

 
 ほんにおまへもあの時は  此の世の光のたゞ中に
 
 立つて眺めてゐたつけが……





彼が27歳のときに生まれた長男文也は昭和11年、2歳で亡くなってしまう

なかなか子供の遺体を離さず、棺に入れるのに親族が苦労したという

悲しみのあまり精神が不安定になり、入院療養を余儀なくされた中原中也が

詠んだ詩、「また来ん春・・・」を自分の子供を虐待したり、果ては殺害して

しまう親たちに詠ませたい


彼の詩は抽象的でわかりづらいという人がいるが、もっと感覚的に捉えるべき

であろう、「サーカス」に出てくる「ゆあーんゆよーんゆやゆよん」 ・・・

彼の不安定な心情が見事にあらわされている表現である、彼は自分の詩集に

「~の歌」と名づけている、そのとおり、彼の詩はなぜだか口ずさみたくなる

もので、詩も覚えていたりするのだ

今年は中原中也生誕100周年、自分が何年か前に書いた記事を眺めながら

この日記も結構長く続けているなあと物思いにふける今日このごろ
ぽっ





 
 春日狂想


 
    1

 
 愛するものが死んだ時には、自殺しなけあなりません。
 

 
 愛するものが死んだ時には、それより他に、方法がない。
 

                    
 けれどもそれでも、業(ごふ)(?)が深くて、
 
 なほもながらふことともなつたら、

 奉仕の気持に、なることなんです。
 
 奉仕の気持に、なることなんです。
 

 
 愛するものは、死んだのですから、

 たしかにそれは、死んだのですから、
 

 もはやどうにも、ならぬのですから、

 そのもののために、そのもののために、
 

 
 奉仕の気持に、ならなけあならない。
 
 奉仕の気持に、ならなけあならない。

    2

 
 奉仕の気持になりはなったが、さて格別の、ことも出来ない。
 

 そこで以前(せん)より、本なら熟読。そこで以前より、人には丁寧。
 

 
 テムポ正しき散歩をなして

 麦稈真田(ばくかんさなだ)を敬虔(けいけん)に編み――
 

               
 まるでこれでは、玩具(おもちや)の兵隊、まるでこれでは、毎日、日曜。
 

 
 神社の日向を、ゆるゆる歩み、知人に遇(あ)へば、につこり致し、
 

 飴売爺々と、仲よしになり、鳩に豆なぞ、パラパラ撒いて、
 


 まぶしくなつたら、日蔭に這入り、そこで地面や草木を見直す。
 

 
 苔はまことに、ひんやりいたし、いはうやうなき、今日の麗日。
 

 
 参詣人等もぞろぞろ歩き、わたしは、なんにも腹が立たない。
 

 
    ((まことに人生、一瞬の夢、
 
    ゴム風船の、美しさかな。))
 

 
 空に昇つて、光つて、消えて――
 
 やあ、今日は、御機嫌いかが。
 

 
 久しぶりだね、その後どうです。

 そこらの何処かで、お茶でも飲みましよ。
 


 勇んで茶店に這入りはすれど、ところで話は、とかくないもの。
 

 
 煙草なんぞを、くさくさ吹かし、名状しがたい覚悟をなして、――
 


 戸外はまことに賑やかなこと!――ではまたそのうち、奥さんによろしく、
 

  
 外国(あつち)に行つたら、たよりを下さい。
 
 あんまりお酒は、飲まんがいいよ。
 

 
 馬車も通れば、電車も通る。まことに人生、花嫁御寮。
 

           
 まぶしく、美しく、はた俯(うつむ)いて、
 
 話をさせたら、でもうんざりか?
 

 
 それでも心をポーッとさせる、まことに、人生、花嫁御寮。

     3

 
 ではみなさん、喜び過ぎず悲しみ過ぎず、
 
 テムポ正しく、握手をしませう。
 

 
 つまり、我等に欠けてるものは、
 
 実直なんぞと、心得まして。
 

 
 ハイ、ではみなさん、ハイ、御一緒に――
 
 テムポ正しく、握手をしませう。






愛する者を失う悲しみは計り知れないものがある、死ななきゃならな

いっていうのは自殺して後を追うというより、もはやこの世に未練は

ないといったところか


でもね、自殺しなきゃならないといったって、自殺できるもんじゃないのさ

死んであの人に会えるのかね、会える確証はどこにもねえよ


死んでしまった者は帰ってこない、自分のこころの浮き沈みとは関係なく

淡々と一日一日は過ぎてゆくのさ

ドラマや映画で描かれるような劇的な展開なんぞ、生まれることなく

同じような毎日が、無常にも続いていく

 
 「喜び過ぎず悲しみ過ぎず」


なんともむなしく悲しいことではないか、愛する者の死の直後から

淡々と続く、変化なき日々・・・


ではみなさん、テムポ正しく握手しませうバイバイ

そしてみなさん、小さな命を大切にしませうグッド


      






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最終更新日  2007年10月31日 05時11分29秒
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