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カテゴリ:環境問題
「足を引っ張ろうとしている」維新が処理水放出反対勢力を批判
~維新の馬場代表は30日午後に行われた党役員会で挨拶し、~中国の原発から放出される放射性物質の濃度は、福島よりはるかに高いとのデータを示しながら、「『科学的』以前の問題で、数字を見れば一目瞭然。我々としても堂々と、処理水の放出については応援していく」と述べた。 同時に、東京または福島で、風評被害の防止に役立つようなイベントができないか、党内で検討を指示したことを明らかにした。 その後、維新の藤田幹事長も定例会見を開き、「様々な論点と思惑の中で反対表明されたり、言い方を悪く言うと、足を引っ張ろうとする勢力があるんだろう」と述べた。 民間人の意見表明は自由としつつも、「責任ある政治に関わる議員は、非科学的なフェアじゃない態度で不安をあおるようなことはあってはならない。そういう議員を私は軽蔑する」と切り捨てた。~ --- 汚染水(処理水)の放出に反対することが「足を引っ張る」勢力だというなら、私は喜んで「足を引っ張る勢力」の汚名を着ましょう。記事からは「何の」足を引っ張るかは明示されていませんが、私は確かに維新が進めたいと思う政治の足を可能な限り引っ張りたいと思っている勢力の端くれであることはまったく否定しませんから。 一連の経緯の中で、中国から個人の電話に対して嫌がらせ電話が掛けられているという報道があり、事実なら、それは許されないことです。でも、そのことと、汚染水放出の妥当性は別の問題です。 経済産業省は「IAEAがALPS処理水海洋放出の安全性を確認」したと言っていますが、実際には、IAEAの報告書は 「処理水の放出は日本政府による決定であり、この報告書はその方針を推奨するものでも、支持するものでもない」 と書かれています。 ありていに言えば、ダメとは言わないがよいことではない、という程度の消極的な承認に過ぎません。錦の御旗として掲げられるほど強固な「お墨付き」ではないことには留意すべきです。 そもそも、問題の本質は必ずしもトリチウム水ではありません。 汚染水の放出に反対する中国に対して、「中国の原発からの温排水(排出される冷却水)の方が今回の『処理水』よりトリチウムの量が多いではないか」という指摘があります。 一見もっともらしいのですが、それを言うなら、従前日本の他の(事故を起こしていない)原発から排出されてきた温排水にも、多量のトリチウムが含まれていました。しかし、それについて中国が従前クレームをつけて来たかというと、そんなことはありません(ただし、日本国内の反原発団体は、従前より原発からの温排水についても問題視してきました)。 事故を起こしていない原発からの温排水放出にはノークレームなのになぜ福島第一原発の汚染水だけクレームをつけるのか、それは、汚染水が単なる温排水ではなく、炉心の死の灰が流れ出した水だからです。ありていに言って、汚染水から本当にトリチウム水以外の核種が本当に除去されているかどうか、少なからず疑念があるからです。 ALPSによる「処理水」から、他の放射性核種が少なからず検出されたことが報じられたのは、2018年のことです。そのことを、東電は(政府も)すっぱ抜かれて隠し切れなくなるまで黙っていたのです。 一度隠ぺいをした組織は(いや、原発事故に関しては、隠ぺいは一度では済んでいませんが)、また隠ぺいをするんじゃないか、ALPSの理論はともかく、現実的に本当にトリチウム以外の核種が除去できるのか、一度処理して除去しきれなかったものが、2度3度処理すると本当に除去できるのか、という疑いを抱くことが、本当に「非科学的」なのでしょうか。 だとすると、「科学的」という言葉は単に体制に対する盲目的な追従のための免罪符でしかありません。 本当のところを言えば、最後の最後には汚染水は海に捨てるしかないであろうことは、以前の記事にも書いたところです。汚染水を永久に保管はできないですから。 しかし、3.11からたった12年で捨て始めるとは、あまりに早すぎるのです。日本人は都合の悪いことには健忘症の気があるから、たった12年で「もういいだろう」と思ったのかもしれませんが、そんな短期間でみんながみんな、すべて忘れてくれるわけではないのです。どうして50年くらい待てないのか。科学的にも、50年経てばトリチウムもその他の核種も、放射線はある程度減衰します。 結局、近隣諸国から非難を浴びながら今汚染水の放出を始めても、全量放出が終わるまで何十年もかかるそうです。それなら、何十年後に放出を初めて、数か月か数年程度でそれを終わらせる方が、物理的な放射線の量も反対派からの批判の声も、相当に減衰しているはずなのに。 やり方が拙劣の極みとしか思えません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.08.30 20:51:51
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