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カテゴリ:社会問題
今日(14日)は、前回紹介してから1週間近くが経過しました。明日は7月15日クーデター未遂事件から7年が経ちます。この事件はまだまだ分からないことが多く、その真相は永遠に藪の中か、少なくともエルドーアン政権が終わるまでは捜査が進むとは思えません。明らかなのは、「一部の部隊(軍人)がクーデター未遂を起こした」と言うことだけです。
今日紹介するのは、前回紹介した“あっと驚くような展開”のその後の予想に関する結果についてです。 ブログ更新のための励みにしていますので、クリックを是非よろしくお願いします。 ![]() にほんブログ村 ![]()
前回、「これまでもエルドーアン大統領は“外交の歴史的Uターン”を連発してきましたので、今回もいつ180度方向転換してもおかしくないような話がありました。それは、ウクライナ・ロシア関係に関するものです。ゼレンスキー・ウクライナ大統領が昨日、今日とトルコを、より正確にはイスタンブルを訪問しました。そこで、2つの“衝撃的発言・行動”がありました。(中略)トルコ・ロシア関係、トルコ・アメリカ関係など、いろいろな背景が想像されますが、管理者はエルドーアン大統領がここまで大きなリスクを負った原因は“トルコ経済と後継者問題”より正確には、“後継者問題”ではないかと考えています。ただ、この問題の本当の背景が明らかになるにはもう少し時間がかかりそうです。」と紹介しました。 その後、1日で、より正確には、ほんの数時間の間に2回、“歴史的Uターン”が起こりました。あるいは、1回目のUターンは、単なるブラフで、2回目のUターンの序曲だったのかもしれません。事実は日本でも報道されていますので、詳しく紹介しませんが、リトアニアで行われたNATOサミットに出発する前にエルドーアン大統領は、「スウェーデンのNATO加盟を認めるためには、トルコのEU加盟が進展する必要がある」という途方もない条件を付けたかのような発言を行いました。そして、その足でリトアニアに向かい、ストルテンベルグNATO事務局長及びクリステション・スウェーデン首相との3者会談で“スウェーデンのNATO加盟を支持する。最後の決定は国民を代表するトルコ国会で判断される”と再びUターンを行ったということです。3者会談では、エルドーアン大統領にとって特別に意味のある問題は出てこなかったようですので、3者会談に入る前の裏交渉で“エルドーアン大統領が心から嬉しく思うことが約束されたのではないか”と言われています。その約束は、管理者が予想したように“後継者問題(=息子の収賄容疑?など)”であるという説もあれば、“トルコ経済(=IMF融資や直接投資の約束など)”といったことが指摘されていますが、現時点ではこれも“藪の中”です。7月15日クーデター未遂事件に関しても、“明らかなのは、「一部の部隊(軍人)がクーデター未遂を起こした」と言うことだけ”と紹介しましたが、これに倣えば、“明らかなのは、「エルドーアン大統領が大喜びするなにかの提供が約束された」と言うことだけ”ということになりそうです。 また、“スウェーデンのNATO加盟を支持する。最後の決定は国民を代表するトルコ国会で判断される”という約束は、トルコが何十年もEUをはじめとする欧米諸国から騙され続けてきた経験から学んだ?“欧米式の回答”と言うことになりそうです。エルドーアン大統領自身は“スウェーデンのNATO加盟を支持する”と明言していますが、“残念ながら国会はスウェーデンのNATO加盟を支持しなかった”と言うことはいつでも可能です。国会決議の結果は、賛成であれ反対であれ、エルドーアン大統領の指示どおりの結果になることは明白です。つまり、エルドーアン大統領への約束が守られなかった場合、あるいは、約束が守られるまで、「スウェーデンのNATO加盟をトルコ国会が承認/批准することはない」ということも可能です(ここはエルドーアン大統領との駆け引きになります)。 なお、この直ぐ後に、スウェーデンの裁判所はトルコがテロリストとして送還/国外追放を求めている人物について「証拠が不十分である」として送還を認めない判断をしました。ここまではある程度想像されたことでしたが、そのすぐ後に、トルコで、5月14日の選挙で当選して国会議員の資格を獲得した弁護士について、国会議員当選から約2ヶ月後に、「容疑はテロであり、釈放することはできない」と民事刑事最高裁判所第3刑事課が判断を下しました。管理者が知っている限り、この弁護士(=国会議員)はゲズィ公園抗議行動参加者の弁護や、高速鉄道事故の被害者支援などを積極的に行い、その過程で警察などと押し合いへし合いをしたことはあっても、銃や爆弾を手にしたことも、手にさせたこともなく、それどころか火炎瓶や石を投げたこともありません。なによりも、“延べ人数ではトルコ人口の10%がテロ容疑で起訴されている”とも言われているお国柄?であり、民事刑事最高裁判所が“トルコのテロリストとはこういう人ですよ”と宣言したのに等しいことになります。つまり、「銃や爆弾の使用はおろか、投石したこともさせたこともない弁護士・国会議員をテロ容疑で釈放しない」というお国柄の国に対して、 “いわゆる民主主義国”がそう簡単に強制送還/犯人引渡しをするとは思えません。事件が大きく報道されればされるほど、“スウェーデン基準で、テロを行った/テロリストであるという証拠”が示されない限り、スウェーデンの裁判所が強制送還/犯人引渡しを認めることは困難と思われます。
この問題を考えているときに、トルコとロシア、そして、アメリカ、日本の政治状況、民主主義状況に関することが色々と思い浮かびました。延々と紹介することはしませんが、どこで読んだのかは忘れましたが、「ワイマール憲法という、当時世界で最も民主的な憲法を持っていたとされるドイツでヒットラー政権が誕生し、世界は第2次世界大戦に突入した」という歴史をしっかりと認識する必要がありそうです。そして、日本については、最近は公明党との連立が続いていますが、戦後のかなり長い期間を自由民主党が単独で、そして、2009年からの民主党政権時代を除けば、1999年からは公明党との連立政権で内閣を維持してきました。半世紀以上も単独の政党が経験を維持しているにもかかわらず、エルドーアン大統領と並ぶほどの“独裁者”が出なかったのは、“自民党内で常に競争があり、独裁的な党首が誕生できない制度があったから”ではないかと思います(それでも長期政権の時は、独裁色が出てきていたという批判もありましたが、、、、)。 最後にひとこと。イマムオール大イスタンブル市長に対して、1つ目として高等選挙委員会(YSK)に対する侮辱罪により第1審で有罪判決が出ている状況で、2つ目は何年も前に決着がついている入札における不正疑惑での数ヶ月前に再起訴され、そして、今日、3つ目としてトゥズラ区長に対する侮辱罪で最長2年4ヶ月の禁固を求める起訴が行われました。この状況も、“いわゆる民主主義国”であれば絶対に起こらないことです。これも管理者が思いついた説明ではないのですが、“なによりも、3権分立とは真逆で、行政権だけではなく、立法権も、圧倒的なシェアのマスメディアの支配権も、そして、司法権すらも、事実上、大統領一人に集中しているという状況を示す証拠”と言えそうです。
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Last updated
2023.07.16 11:23:09
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