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カテゴリ:富士見市の石仏
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「石仏画集 地蔵菩薩・如来・弘法大師像編」の途中ですが今日は一休み、ちょっと寄り道です。以前「庚申塔編」の中で丸彫りの青面金剛像をまとめたときに一緒に扱うことができなかった富士見市下南畑の庚申塔を紹介します。 富士見市下南畑、難波田城公園の西にある曹洞宗の寺院 興禅寺(富士見市下南畑74)公道沿いの入口から山門に向かう参道の左側、墓地のブロック塀の前に丸彫りの像塔が立っていた。 丸彫りの青面金剛庚申塔。紀年銘が見当たらず造立年など詳細は不明。青面金剛は六臂、第一手は合掌、第二手は両手に日天、月天、第三手は右手にドクロ?、左手に鈴を持つ。丸彫りの青面金剛像は数が少なく貴重なものだが、そのほとんどは坐像であり、このような立像となるとこれはもう滅多に見られない。特にこの青面金剛像は丸彫りにもかかわらず目立った欠損もなく、造立当時の姿のまま、ほぼ完全な状態を保っていて素晴らしい。 白カビも多いが、彫りはきれいに残っている。額に蛇がとぐろを巻き、目を吊り上げた福耳の青面金剛。首には髑髏の首輪をつけていた。六臂の持物から考えると、青面金剛像の一般的な持物のありようが確立する前、江戸時代初期のものと思われるのだがどうだろうか。 足元には大きな邪鬼。足を折り曲げ腹ばいになって青面金剛の重さに耐えている。台の正面には丸い三猿が彫られていた。 邪鬼の口から牙がのぞいている。台の両側面にしっかりとした二鶏を浮き彫り。三猿と二鶏の彫られた台の上に邪鬼を乗せ、その上に青面金剛像を乗せているのかと思ったのだが、よく見るとつなぎ目がなく、青面金剛から下の台までが一つの石から彫り出されたものだった。 像の全容を見ていただくために、違った角度から塔全体を写した三枚も上げておく。第三手、右手に持っているのはあるいはショケラの頭部かもしれない。 斜め前から見ると青面金剛像は下腹部が厚くなっている。はっきりとは言えないが、江戸時代初期の聖観音像菩薩立像も同じような傾向があったような気がする。 どの角度から見ても彫りは細かく丁寧な仕事がされている。相当に腕のいい石工さんの作品ではないだろうか。紀年銘がないのは残念だが、この貴重な庚申塔、より多くの人に見ていただきたいものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.06.27 21:08:18
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