同じ構図でわずかに接近 思えば、妻のカンを失ったがハルがカナに言い寄り、カナの夫のデコ(ハルの息子)を排除しようとしたのが事の発端であった。その後、ハルは迎えた嫁候補のアイに目もくれずにカナを誘惑したが、換羽初期の憂鬱から立ち直ったデコに反撃され、当のカナが換羽となり浮気に興味を失い、略奪愛は成功しなかった。それでハルとアイがうまくいけば丸く収まったのだが、そうはならず、アイはポン(ハルの孫)の求愛を受けて同居することになり、そのため一羽暮らしとなったテンに嫁候補としてカエを迎えることになった。
そして、ハルは今のところ一羽暮らしに満足し、どうやら飼い主を愛ジンと見なしたらしく、外に出てはブランコを猛烈に揺らすように催促してくるくらいで、手間がかからない状態になってくれた。少し面倒だが、これは有り難いことだ。問題はテンで、換羽がほぼ終わり再び浮気の虫が蠢きだしたカナに求愛し、同居するカエを無視し続けている。
困惑、しかし少し変化してきたようだ。カエが少し飛べるようになり、つぼ巣をめぐってデコ・カナ夫婦と激突する姿を見て、テンが頼もしく思い始めているようなのだ。おそらく、カナを愛するテンにとっては、目の上のたんこぶであるデコを、目の前で豪快に突き払う文鳥に、頼りがいのある味方というイメージを持ったのだろう。こうした時、恋愛対照のカナも追い払われていることまでは考えないから、文鳥という生き物は素敵だ!
しかし、いかにテンが好意を持とうと、カエはつぼ巣を独占することに集中している。当然、テンがカエの横に行こうとすると、これも手ひどく撃退してしまうのであった。
「横に行く前にさえずれ!・・・それ以前にカゴの中で仲良くしておけバカたれ!」と人間である飼い主にはもどかしいところなのだ。