水浴びするハルと撤退する息子ノコリ
昼、ハルに点滴をし、そのまま他の文鳥たちも出して短時間放鳥。その間、飼い主は文鳥たちの水の交換を行う。と、ハルが腕にしがみつき、伝い歩いて飼い主が持つ水飲み容器に頭を突っ込み、さもうまそうに何度も水を飲むではないか。・・・やはり、あの赤い水は嫌だったようだ(指示された処方より2倍以上薄めていたのに・・・)。
あの水の色を見ると、サザンオールスターズのマイナー?な曲『飛べないモスキート』を思い出す。「命をつなぐ~、赤い川の水」というフレーズだ。命をつなぐため他に選択肢がないなら、人間もそれを飲むかもしれないが(沸騰させないと命に関わるかもしれない)、飼育下の文鳥様には嫌なものは嫌とする者が多く、『赤い水』を一滴も飲まずに頑張る場合がある。それでも、命の危険があるまで我慢することはあるまいと高をくくっていると、案外危険なことにもなり得てしまう。とにかく強情なのだ。この恐るべき我まま文鳥気質は、獣医さんにも理解されにくいので、実際の看護を行う飼い主が板ばさみ状態になるケースが頻繁に生じることになり、たびたび文鳥愛好者の悩みを聞くことになる。生活のためには枝葉末節部分はスルーしてしまうのみだと思うのだが、そう言った良い意味でのあつかましさのない真面目な人が日本人には多い。
そう言った盲目的な真面目さの持ち合わせはないリアリストは、すぐに赤い水は止めて、黄色い水にしてみた。水にネクトンSを溶かし込んだものだ。せっかくなので処方されたタウリンも混ぜる。なお、ネクトンSはなめてみるとフルーティーで甘い。タウリンはほぼ無味だ。これは実際なめた上での感想だが、舌が腐っているかもしれず、また人間の味覚と文鳥の味覚が同じとは考えない方が良いので、あまり意味はない。黄色いのも嫌なら、普通の水も飲めるように、水浴び器も設置する(これまでは空で設置)。
鉄分やらアミノ酸類やらビタミンが必要なら、我が家の場合、他でも摂取できるので、墨守する必然性などないのである。しかし、そう言ったことはいちいち獣医さんに申告すれば角が立つので、黙って飼い主の自己責任で行うのみだ。当然、治療の主役となるような薬は指示通り点滴で確実に飲ませる。
おかげで、ハル、放鳥部屋で手の上に乗らなくなった。帰る時だけ、『文鳥団地』に飛んで行き、そこでは手に乗る。賢いのかそうでもないのか・・・。とにかく、点滴に慣れてもらうしかないが、これも胆のう腫確定なら、長く続ける気はない。
何となく続ける治療など、文鳥にとっては迷惑なだけだろう。飼い主としては、何かしないと無力感に囚われてしまうかもしれないが、実際無力だとわかっているなら、せめて余計なことはしないのも選択肢となる。無力感に苛まれるなら苛まれたら良い。いつでも、そう思うのである。