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雀坊の納戸~文鳥動向の備忘録~

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2011年08月14日
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 今回の『京都五山の送り火問題』は、すべて、保存会と京都市行政府の意思決定を行う立場の人に、「セシウムが」などと口にするのであれば、必ず認識していなければならないはずの科学的な知識、むしろ常識が、決定的に欠如していたことに、原因があるように思います。ただこれは、この人たちが特殊なのではなく、むしろ普通に過ぎた結果だとも思います(従って個人攻撃は無意味)。
 己の住む地域にはセシウムが存在しないので、外部の汚染地から危険物を持ち込むな、といった感覚を常識として生活していたのでしょう。しかし、それは無知に基づく妄想でしかありません。実際は、彼らの住む地元の新聞が、4月22日に報じているように↓、京都市内からも、またさらに西方の地域からもセシウム134が検出されています。そして、この記事はしっかりと説明しています。同じセシウムでも半減期(消滅が始まるまでの期間)の長い137は、事故以前から継続的に存在しているので、その有無では今回の事故によるものかは分からないが、134は半減期が短く、通常は検出されていなかったので、今回の原発事故に起因することがわかる、と。
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20110422000070
 1960年代を中心に、アメリカ・ロシア・中国その他が、実験として1000発以上の核爆弾を炸裂させた結果、巨大なキノコ雲の形を示しつつ対流圏はおろか成層圏にまで達した放射性セシウムなどの放射性物質は、世界の各地もれなく降り注ぎ、その土壌を汚染しました。その後、チェルノブイリ原発事故による増加分を含め、半減期の長い放射性物質の影響は、残り続けていました(詳しい科学的データなどに興味がある人には、農業環境技術研究所のHPのご参照をお薦めします)。現在でも、より放射性物質濃度の高い地域である中華人民共和国の内陸部から、黄砂と一緒に飛来してもいることも確認されています(微量なので問題としないのが普通です)。つまり、そもそも、放射性セシウムがゼロなどという地域は、今回の事故以前から存在せず、少なくとも1945年以後に生まれた人類は、「汚染地」で生まれ育っており、それでも人口は爆発的に増加し、平均寿命も着実に伸びているわけです。
 当然ながら、放射性物質が大量に降り注いでしまった地域を、安全とは言えません。対流圏で拡散してから降下したのと、爆心地や事故現場の近隣に降下するのでは、濃度が異なり、当然高濃度ほど危険です。しかしながら、今回の事故の場合、地表付近での風でかなり拡散してしまったものの、不幸中の幸いで、比較的短時間のうちに症状を起こす放射性ヨウ素は、健康被害をもたらすほどの濃度では降下していないと考えられています(子供の放射性ヨウ素による甲状腺障害の有無についての調査結果のNHK記事↓)。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110813/k10014892751000.html
 それでも、避難指示が出されるくらいに高濃度の影響を受けてしまった地域の人たちの健康には、念のため十分に留意しなければならないでしょう。そして、比較的に低濃度の影響で済んだ地域の人たちは、すべて避難が必要がないほどの低濃度であることを前提に、違いは濃淡でしかなく、みな汚染地で放射性物質の基準値内で生活している以上、その基準値をはみ出してもいないものを自分の勝手な感覚で選別しないように心がけたいところです(自分の感覚での選別は、その産地の人々を踏みつけにすることになると、自覚して頂きたいです。そのような罪悪感を、特に自分の子供に植え付けるようなことは、私は御免です。基準値内であれば、ごくごくわずか、タバコを吸うか吸わないかよりはるかに低い程度の健康リスクの相違があるかないかくらいのものと考えられますから、そのようなわずかばかりの危険性よりも、人には人として大切なものがあり、それを子供たちが感じ取れるような社会で有りたいものだと思います。「健康!健康!」とエゴ剥き出し騒ぎ回るのが、健康にも子供の教育にも良いと思われますか?)、より高濃度の地域を探して喜んだりその住民を差別するような、不毛なことをしないように、厳に心がけたいところです(近くにいれば、そんな奴はぶん殴れ!)。


 さて、NHKその他マスメディアの皆さんには、地方政府でさえも誤った知識で差別的行動を起こし、それをおかしいと自覚せずに記者会見までしてしまう現状を踏まえ、今回の件が他山の石となるように、扇動的な報道や個人攻撃的を控えつつ(誤った認識が漠然と蔓延しているのが問題で、個人の資質の問題ではないです。地方行政の担当者が有能でないことなど、珍しいことではありません)、正しい情報の普及に努めていただきたいと、切に希望しております。
 現在の政府が、『民生』というものをまるで考慮しない事については、もはやウンザリするばかりで、それに期待できませんから、マスメディアの皆さんがより良い方向へ向けた情報を発信してくれることに、大いに期待しております(特にテレビですが、芸能人のくだらない楽屋話ばかりを垂れ流して済む社会状況ではないことに気づいて欲しいところです)。

【追加】
 NHKのニュースをまた確認しましたら、本日14日付の各地のニュースに散見されました。岩手では、薪が千葉県の成田山新勝寺の供養に用いられることになったとの話題と、京都では、他のマスコミが昨日報じたような経緯の詳報です↓。
http://www.nhk.or.jp/lnews/kyoto/2014855563.html
 この記事で注目すべきは、やはり保存会の人に存在する、滑稽なまでに間違った認識でしょう。京都五山送り火連合会の会長氏は、「今回のまきでも放射性物質は検出されるはずがないと思っていて、それなら使いたいと思っていただけに、今は検査結果にただ驚いているとしか言えない」と仰っていますが、記事の後半に専門家の「今回のように樹皮からある程度高い値が出るのは当たり前」との指摘があるように(前にあった記事の京都大学の先生もそうですが、専門家の方々のコメントには、無知な行動に対する怒りを感じます)、検査結果に驚く無知の方に驚かされるのが、少しは知識のある人たちの見方なのです。
 己の無知と非常識を恥じ、この際しっかりと学び、今後につなげて頂きたいところです。具体的に言うのであれば、「セシウムがゼロ」を求めたこと自体を撤回し、それに基づいて処置した不明を詫び、再三再四の恥の上塗りであっても、それでもまだあるはずの検査済みの薪を、自分たちで担いで運んで送り火として燃やすことです(とっくに潰れ果てたメンツにこだわっている時間はないですが・・・)。
 まだ「燃やすと四散してビワコに~」などとわめく愚者がいたら、毅然として言っておやりなさい。食品衛生上問題とされない微量の物が燃やせないなら、「野菜炒めも焼き魚も焼肉もやめろ!」。それでも喚くような奴は、やはりぶん殴るくらいしかないでしょうね。






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Last updated  2011年08月14日 12時54分38秒
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