ツボ巣破壊に暗躍中の文鳥たち
愛知県名古屋市を本拠とするテレビ局(東海テレビ放送)が、岩手県産米を「怪しいお米セシウムさん」と表示して、轟々たる非難を浴びたのは、昨年の8月であった。そして、岩手県雫石のお米(籾)を飼料として商っている私に、「名古屋市民のお客様から「震災後の収穫は西日本のものがいい」とのご意見をいただいたのは、今日だ。
「西日本」がどこかはわからないが、少なくとも、愛知県名古屋市あたりのものは、岩手県より「セシウムさん」の可能性は高い。もちろん、どちらも限りなくゼロに近く「未検出」に相違ない。実際、文部科学省の調査では、岩手県の大半の地域は愛知県同様に、ほぼ影響がない。それでも、より微細な汚染の濃淡を、あえて『感覚』だけで考えるなら、愛知県の方が「怪しい」とも見なしえる。
同じ東北地方でも、岩手県の雫石ともなれば、関東地方南部の神奈川県横浜市より事故原発から遠い。250キロ以上離れている。その点直線距離では愛知県名古屋市は450キロも離れているので、影響などほとんど無いに決まっているが、しかし、同じ東海地方で隣県の静岡では、事故後に収穫した農産物に、一時的な影響が出たことを記憶している(一時的なので、今は問題なし。念のため)。静岡県と愛知県の間は、岩手県の山奥と言って良い雫石に至るまでの山脈の数々のような巨大な遮蔽物ないので、強い東風が吹けばよほど影響を受けると考え得る地理的条件にある。
「セシウムさん」が問題なのは、アホな担当者が本音のテロップを流したからではない。事実無根の情報を垂れ流したことにある。不謹慎ではなくデマ情報を流したのが、問題だったということを、しっかり認識し、東北地方というのがとても広大だということを、高校時代の地図帳でも引っ張り出して再認識し、東北産だから、などというまるで理知的でない理由で排除しないように願いたい。
・・・私は、どこのお米も食べる。気にしない。それでも、ろくに考えることも出来ないくせに、うじゃらうじゃら言う者など、しゃらくさい。しかし、せっかくなので、うじゃらうじゃら言うなら、「未検出」なり、基準値内に検出した程度、胚芽やヌカをとって白米にしたもの、ついでに無洗米などにしたら、ほぼ皆無になるので、気にするなど阿呆だ、というくらいの理屈は持っている。従って、無洗米よりも影響がでやすいと思われる玄米や籾では、より安全を希求するのも、まあ、理屈としては許容できるが、それにしても、土壌汚染などありえない遥か彼方の地域を、「東北」の名のもとに一括して「エンガチョ」するのは、不自然にすぎて腹立たしい(なお、店で2010年産米を売っているのは、11年産米の生産量が少なくて一般販売できないかもしれないと言われたからで、放射性物質など初めから毛ほども心配していない)。もっと「怪しい」どころか、汚染マップを見ても明らかにより汚染しているのは明らな関東地方の神奈川県などに住みながら、無知蒙昧をさらけ出しガレキ処理を滞らせている無知でエゴな連中など、まったく目眩がするくらいに腹立たしい。無知な自分の尺度で思い込んだ「ケガレ」を避け、自分だけ清浄でいようとする。それを子供に及ばせ、みんなが食べている学校給食に難癖をつけ、自分の子供に弁当を持たせるバカな親。自分の子供だけ良ければOKと思えるその軽薄なエゴイズムに、身の毛がよだつばかりだ(そういったエゴ親から、どういった「ガキ」が育つのやら・・・。「野ツボにはまった友人がいたら、汚れても助けろ!」が人間としてのモラルだ。自分が実践出来なくとも、子供にはそうなって欲しいと願うから、人間社会は存続できるのだと私は信じている)。
まったくもって、震災一年になろうとする昨今でも、いろいろ腹立たしいのである。
そうした苦々しい気分の飼い主など無関係に、文鳥たちは・・・、ツボ巣破壊に勤しんでいた。困ったものである。