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雀坊の納戸~文鳥動向の備忘録~

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2013年02月03日
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 ずいぶん前の話で恐縮だが、『コンパニオンバード』という情報誌に(No.6 2006年11月発行)、鳥について専門性の高い獣医さんが、小鳥に甲状腺腫が多いとし、その理由をヨード(ヨウ素)の不足と断定しているようなので、かなりしつこく批判したことがある()。ただ、その獣医さんは「ボレー粉には約0.5mg/100gのヨードが含まれ」ているので、ボレー粉のみからヨウ素の必要量を摂取するには、「毎日0.5g以上食べなければなりません」と主張されるのに対し、当時ヨウ素(ヨード)の含有量が客観的に把握できなかったので、(「エビデンス」不明ながら)とりあえず数値はそのまま事実なのだろうと思っていた。
 ところが、先日の鳥羽市が提示されたボレー粉の成分表に、ヨウ素の項目があったので、改めて検討したところ、「ボレー粉には約0.5mg/100g」との認識自体が、すでに間違っていたと見なさねばならなくなった。備忘のため考察内容を載せておくことにする。

 鳥羽市の掲げる成分表では、ボレー粉の49ppmがヨウ素とされている。1ppmは0.0001%の意味なので、0.0049%がヨウ素であり、100gの0.0049%は0.49g、単位を改めれば490mgとなる。つまり、件の獣医さんが前提としている数値よりも、何と約千倍もヨウ素を含んでいることになるのである。

※ それほど含むのだろうかと疑問に思っていたのですが、コメントでご指摘いただいたように、記載時に、ずいぶんと単純な錯覚をしていたようです(%を計算時に百分の一にするのを忘れてる・・・)。
 100gの0.0049%は、4.9mgなので、獣医さんの前提にする数値の、約10倍となり、これなら不思議とは言えず、ヨードの必要摂取量とその獣医さんが見なす数値を、ボレー粉のみから摂取すると仮定すると、0.05g程度が必要となるかと思われます。これを基礎に、以下の記載を(あわてて)修正します。
 
  ご指摘いただいた「Nao」さんありがとうございました。

 そもそも、ヨウ素の必要量は極微量なので、ズレた人が見当違いな問題視をしなければ、細かく考える必要など初めから存在しないが、食品成分データベース(by文部科学省)によれば、素干しの真昆布は、100gあたり240000μg、つまり240mgのヨウ素を含むので、海水を濃縮した形で取り込んでいく無機質の牡蠣殻も、それなりに多くのヨウ素と見なすのが適当と思える。となると「食べなければならない」量は、だいたい0.05gといったことになり、文鳥が1日10g食べるとして、その内の200分の1で、件の獣医さんが必要とする特異な量を満たせそうである(ヨウ素は他の食品にも微量含まれている)。

※ 以前(2006年)にも指摘したように、その獣医さんは、1990年代に『AVIANMEDICINE』にあったという「オウム目スズメ目全体の栄養必要量」にあるヨウ素の1日の必要量100gあたり0.03mgという数値と、「ボレー粉には約0.5mg/100g」とする認識(根拠不明)に基づいて計算していると思われる。文鳥が1日10g食べると仮定すれば、0.003mgのヨードが必要になるので、100gに0.5mg含む食品を0.5g食べても、0.0025mgにしかならず、必要量に達しない。

 小鳥が1日に摂取すべきヨウ素の数値は少々疑問があり(下記にも触れるように、人と比較して必要量が過大)、むしろ日本人の食事摂取基準2010年版(by厚生労働省)が、必要量のヒントになるように思える。それによれば、ヨウ素の含有量の多い海産物を多く摂取する日本人の1日当たりの平均ヨウ素摂取量は1.5mgだが(過剰上限は年齢性別で異なるが、おおよそ、子供で0.5mg、大人で2.2mg程度)、推奨される値はその10分の1以下の0.13mgとなっている。そして、同基準の『耐容上限量』の説明によれば(引用下記)、日本人の平均は、毎日取り続けると過剰になってしまうほどのものとなっている。つまり、多く摂りすぎてもそれが連続しなければ問題にならず、少々多い量を間断なく取り続けると過剰症状を起こすわけで、これは飼鳥にも当てはまるものと思われる。治療時の必要でヨードなどを飲水に混ぜるなら良いが、日常的に継続させるのは危険な行為と言わねばならない。

【引用】 「飲料水に高濃度のヨウ素が含有される中国やアフリカの研究によると、ヨウ素摂取量が1. 4~1. 5 mg/日を超える場合には甲状腺腫を起こす危険性のあることが示唆されている。一方、日本人のヨウ素摂取量は平均で約1. 5 mg/日に達していると推定されるが、甲状腺機能低下や甲状腺腫の発生はほとんど認められない。日本人の高ヨウ素摂取は、間欠的な海藻類の多食がもたらすものであり、中国やアフリカの例のような連続的なものではない」

※ 50kgの人間のヨウ素の1日の必要量が0.1mgとするなら、25gの文鳥は、単純に体重比で考えれば0.00005mgで十分ということになるはずで、これは『AVIANMEDICINE』を基にした仮定0.003mgの60分の1に過ぎないことになる。小鳥は人間よりも多くのヨウ素を必要とするのだろうか?そのエビデンスを知りたいものである。

 獣医さんは、さほど栄養学に詳しい必然性はなく、個別品種の飼育経験が無くて当然であり、中には食品なり飼料について、一般常識からかけ離れた認識をもっていることも有り得、思い込みの情報が古い場合もある。
 飼い主は獣医さん、それも小鳥の専門を掲げる獣医さんなら、自分の飼っている鳥種について、何でも知っていて当然だと思い込み、診察室で受けるご託宣を絶対のものとしてしまいがちだが、案外いい加減な内容であることも多い(それに気づきもしない)。そもそも、専門についての知識が深ければ深いほど、それ以外は疎かになるのが世の常なので、何もかも期待して信じるほうが無茶だと私は思う。症状の治療についてのお話以外の話であれば、教えを受けるのではなく、他人の意見のひとつとして、慎重に検討して頂きたいと思う。
 ヨウ素やボレー粉に関しての話なら、普通の殻つきの飼料にボレー粉と青菜、それに繁殖期に鶏卵の黄身をまぶした飼料を与えるくらいで、文鳥という生き物は、日本で何百年も繁殖を続けているのが事実だ。それはヨウ素欠乏は起きないから可能なので、その理由は、海に囲まれた日本の環境ではヨウ素欠乏を考えるほうが非常識だから、と言って良いかと思う。
 それでもあえて欠乏の可能性を考えるなら、輸入品の穀物がたまたま内陸部のものばかりで、しかも国内産の青菜も与えず、最大の給源であるボレー粉すら副食として用意せず、さらに飲水は軟水である場合くらいだろう。件の獣医さんは「ペレットにしても、主原料にヨウ素吸収を阻害するイソフラボンを多く含む大豆を主原料としたものなら、むしろヨウ素を欠乏させかねないので、ビタミンA類などの二重摂取による過剰を考えるなら、総合ビタミン剤類との併用よりも、ボレー粉を副食としておいたほうが無難、といった結論になるのではなかろうか。
 非常識な妄想で、「ボレー粉はカビだらけ」と思うなら、気が済むように洗えば良いと思うが、それは飼い主個々の「趣味」だろう(当然洗いませんよ。私も。その他圧倒的多数も)。そのように「指導」する獣医さんもいるようだが、そういったズレた意見は聞き流すべきかと思う。






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Last updated  2014年01月11日 23時21分58秒
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