3羽で仲良く水浴び
ソウ・テイ・ガイは、それほど仲良くいつも一緒という感じではないが、いがみ合うこともない。3羽とも飼い主の手が好きだが、じっとして寝入るようなことはなくなった。
手のひらは温かいので、「握り文鳥」といった現象が起きる。肉厚の温かい座布団なので当然だが、「文鳥の方が体温が高いので、冷やしてしまう!」と思い込んでいる人がいる。そのような思い込みをした獣医さんの影響を受けているものと思うが、もちろんデタラメである。
普通の布団にせよ座布団にせよ、それ自体は発熱していないが、有ると無いでは大いに異なる。それは、外気温を遮断し、体温を外に出さない効果があるからで、それは人間の手も同じことだ。むしろ、手は発熱しているので、より保温効果が高い。
小学生の足し算引き算の単純計算なら、体温40℃と35℃なら、40℃の方が35℃に熱を奪われることになるのかもしれない。しかし、外気温が35℃以下なら、比較として考えただけでも、その考えは特殊な例外を除けば、成立し得ない。さらに、体温が何であれ、文鳥の体温は優秀なダウンジャケットの中であり、人間の手のひらの表面温度は、体内の温度とは異なる。手のひらの外気温だけを見れば、特に冷え性の人の手は、冬の布団と同じで、初めは冷たいが、やがて自分の体温で温まるだろう。
人の手のひらは熱吸収剤ではなく、外部からの熱を吸収する特殊な仕組みになっておらず、そもそも人体には、エンジンなどを水の循環で冷やす水冷式同様に、血液を循環させて体を冷やしたり温めたりする特殊な機能はない。手のひらからの熱を取り込むような機能があれば、さぞ冷暖房の効率は良くなるはずだが、そのように外気温の影響を受け易ければ、逆に生命の危険に直結する自体が日常的に発生してしまうだろう。
つまり、手のひらの表面温度は高くないものの、湯たんぽの入った布団以上の効果は見込まれるのである。何しろただの布団ではない。肉の下には血液が流れ、発熱しているのだ。そこに文鳥が乗れば、お互いの温度そのものより、お互いが体内から発する赤外線で、お互いがポッカポカになるのだ。
たびたび言っているが、手乗り文鳥は亡くなる際に、飼い主の手を求めることがあるので、そのような時、聞きかじった誤った知識で、「かえって体を冷やす」などと、変な気を回して、最期のひと時を逸することのないようにして頂きたい。