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雀坊の納戸~文鳥動向の備忘録~

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2014年05月13日
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 マンガ『美味しんぼ』の内容が話題になっている(朝日新聞記事)。私が受けた印象は、自分にとっての「美味いもん」ばかり食べ、自分が汚染地と思っている場所を、戦々恐々たる思いでうろつくと、鼻血が出たり疲労感を覚えるものらしい、というに過ぎない。新陳代謝の弱まった高齢になっても、若い頃同然の栄養を摂取し、一方で精神的な緊張があれば、むしろ健康体であればあるだけ、それは当たり前で、まして、旅先で温泉に浸かってのんびりすれば、だいたいのぼせて、そんな風になるのものだと思ったのである。
 そういった客観的な考察を欠いて、不安感を満たすだけの確証バイアスを、無理無茶の限りを尽くしてかき集め、何が何でも放射能と結びつけたくなったとしても、他人の迷惑を考えれば、自制し、関与しないようにするのが、大人の分別だと思う。そのような自制が効かず、およそ200万もの人々が住んでいる県名をあげ、そこに住んでいるどころか行っただけで体調不良になるなどと吹聴するなど、もはや幼児性精神疾患と見なすしかあるまい。
 だいたい、200万人が鼻血で苦しめば、ちり紙屋さんは大喜び、ネピアもエリエールも万々歳、会社の株も上がるはずではないか。ところが、そのような客観的事実は欠片もない。
 自然地理の諸条件を無視して、なぜか人為的に定めた県境を超えない縄張り意識を持つ、世にも不思議な放射能汚染を妄想し、お化けに怖がる幼児同然に自分の限定的知識とありふれた空想力の中だけで悶々と悩み、個人的に思い込んだに過ぎないトンチンカンな結論に、確証を与えてくれるようなトンデモ似非科学を無批判に受け入れて妄想を肥大させ、自分の妄想を否定する論理だった科学的な話は、すべて陰謀のように思えてしまう、このような精神状態は、正常とは言えないだろう。
もし、この作者と同様の『危機感』を持つ人々が、現在、みんなで「鼻血ブー」にお困りなら、それは集団ヒステリー症状と見なす方が、よほど客観的かつ科学的であり、その場合薬価の心配をせず、「気の病」という昔ながらの真理を、けんけん服膺されれば済むだけだと思える。

 そもそも、このマンガは、国柄も土地柄も生い立ちも異なれば、個人個人の生まれ持った味覚すら、どの程度の幅があるのかしれたものではない事実に、あえて目をつぶって、究極だの至高だの、誰もが納得してしまう料理やメニューがある、という稚気にあふれたテーマを追い求めたものだったはずだが、その結末はどうなったのであろうか?まったく関心のない私は、今回の件で、何といまだ続いていたことを知り、人間の惰性の偉大さに驚かされた。しかし、惰性で読んでいるような人が、惰性で洗脳されて、なんの根拠もない地域差別をして、世の中から奇異な目で見られては、自業自得ながら、気の毒だと思う。

 原発事故の影響で、冷静な判断力を失ってしまった老人と言えば、昨今、首相経験者のご老体両名が、原発廃止を求めてご活動になっているのが、思い出されるところだ。
 もちろん、高齢化社会であり、老人も元気に社会でご活躍していただきたいが、隠居が未来を切り拓こうと力むのは、少々醜悪でありお門違いのように思える人も多いはずだ。
 功績のあった人ほど、過去において、現在を作られた立場なので、現在に問題があるなら、そのようにした自分たちの過去を、まず自省しなければなるまい。その経験を踏まえた自省は、今現在の現役世代が、未来に向けて何ごとかを選択する際の参考になるはずなので、大いに尊重すべきだろう。しかし、自分たちが現役であった頃の判断を棚に上げ、過去現在を無視して、先頭に立って未来を拓くような言動を繰り返す干からびた姿など、自省のない厚かましさだけで歳を重ねた不覚悟の輩を、絵に描いたものに過ぎないのかもしれない。
 晩節を汚すのは、得てして、自省の欠如に起因するものと、現役世代も、今のうちに自戒したい。その意味で、あの無反省の権化の如き姿は、良い反面教師となっているとも言えようか。





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Last updated  2014年05月13日 17時36分42秒
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