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雀坊の納戸~文鳥動向の備忘録~

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2016年06月01日
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カテゴリ:文鳥動向の備忘録
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追う者(ノブちゃん)と追われる者(キミョー)
 
 ナツメ社の文鳥飼育書『楽しい文鳥生活のはじめ方』についての3回目。3回もネタにすれば、もうウンザリなので、これが最後である(・・・たぶん)。次の一文が、この執筆者のレベルを示すのではなかろうか。
 
 さし餌には、ヒナに必要な栄養バランスを考えて作られた「フォーミュラ」というパウダーフードを使います。

 断言である。この筆者は、かかりつけの獣医さんから「フォーミュラ」なる物体を有り難く頂戴(購入)して、アワ玉主体の湯づけエサ用に、コバヤシさんが発明された給餌スポイト『育て親』を、目的外使用して、「フォーミュラ」の練り餌での差し餌を行い、それが当たり前で正しく大半の支持を受ける行為だと、信じて疑わないらしい。何十年も前から、アワ玉主体の給餌に用いられ続けているものを、借用しながら、である。
 そもそも練り餌での給餌は、文鳥の場合、それが出来なかったのではなく、その必要がなかった、もしくはそれにより大きな利点を見いだせなかったので、選択されなかったに過ぎない(病気の場合を除く)。何しろ、練り餌など、日本では江戸時代の昔から存在していたのである。
 日本には、大昔から、野鳥に与えるすり餌(練り餌【ねりえ】)の文化があり、それは、それだけで野鳥が生きていられるように、いろいろな食品・飼料をパウダー状にして、栄養のバランスを整えたものを、水やお湯で練ってドロドロの状態にして与える。そして、長い経験の蓄積を経て、鳥種ごとに、どのような配合が適しているか類別し、現在に至っている。
 20年以上前に、アメリカの手乗りインコ育成の方法論を学ばれたであろう小鳥医療を志す獣医さんたちは、残念ながら、日本の伝統的なすり餌を理解していなかったようだ。そうでなければ、栄養価などの数値が明確なアメリカのパウダーフードを偏重し、日本で蓄積された優秀な飼鳥文化を、たんに栄養価が明らかでないだけで、無視することはなかったはずである。
 現在、20年前の栄養価表記絶対主義を固持する鳥系の獣医さんが、どれほどいるのかわからないが、その古臭い呪縛を未だに受けて、平然と飼育書と称する印刷物に、「栄養バランスを考えて作られた」「フォーミュラ」などと書ける人は存在するわけだ。しかし、日本のすり餌にせよ、「栄養バランスを考えて作られ」、しかも、最低でも、小鳥は栄養不足で死なせることはない、といった実績は十分すぎるほどなのである。
 
 ところで、この「フォーミュラ」とは、具体的には何であろうか?英語でformulaは、薬など決められた配合で処方することの意味らしいが、日本で現在市販されている文鳥ヒナに用いられるパウダー状飼料の「フォーミュラ」であれば、ラウディブッシュ社(USA)の低脂肪タイプ『オリジナルフォーミュラー』か、ケイティ社(USA)の『ハンドフィーディングフォーミュラ』だけではないかと思う(ズプリーム社【USA】は商品名に「フォーミュラ」と付かず、現在は大容量サイズしかないようなので、文鳥で使用する人はいないと思われる。NPF社【日本】の国産の『プロアドバンスフォーミュラ』は最近の製品)。
 それらは、もちろん「ヒナに必要な栄養バランスを考えて」作られた製品のはずだが、その「ヒナ」は、文鳥よりはるかに大きな中型インコのヒナであり、結果、雑穀を主食とし著しく低脂肪な食生活をする文鳥などのフィンチ系の小鳥には、栄養過剰になるのではないか、との心配が、昔から存在している。そうした懸念があったればこそ、ラウディブッシュ社が日本仕様の「オリジナル」として、低脂肪の製品を開発することにもなる。しかし、数十年後の現在、私はこの心配は杞憂だったように思えている。それがなぜか、まずは飼料会社が「必要な栄養バランスを考えて」くれた結果である栄養価を見ていただきたい。

ラウディブッシュ『オリジナルフォーミュラー』タンパク質20.5%・脂肪分3.5%・355kcal
ラウディブッシュ『フォーミュラー3』タンパク質21%・脂肪分7%・355kcal
ケイティー『エグザクトハンドフィーディング フォーミュラ ベビーバード用』タンパク質22%・脂肪分9%・不明
黒瀬ペットフード社の『ネオ・フード ハンドフィーディング』タンパク質24.2%・脂肪分5.4%・373kcal
NPF社【日本】の『プロアドバンスフォーミュラ』タンパク質24.4%・脂肪分10.3%・365kcal

 中型以上のインコ用とされる『3』は、文鳥など用とされる『オリジナルフォーミュラー』より、脂肪価が2倍となっており、全鳥種用とされるケイティの脂肪価は、さらにそれ以上となっている。しかしながら、(なぜそうなるのか不明ながら)、低脂肪化したものもそうでないものも、エネルギー(カロリー)は同じとなっている。また、他の数値を見ても、数%の脂肪価の相違は、カロリー量に顕著な影響を与えているようには受け取れず、その点だけ考えるなら、どれも似たりよったりに思える。実際のところ、『オリジナルフォーミュラー』で育てたら成長が遅いとか、『エグザクト』で肥満になったなどという話は聞かないので、低脂肪仕様を開発する必要はなかったように思えるのである。

 現在に至っても、アメリカ合衆国製の方が細かな栄養価表示がされており、安心出来る云々、などと、日本の野鳥飼育の技術に無知だった20年前の若い獣医さんそのままの主張をする人がいたら、それは勘違いである。上の数値にしても末尾に「以上」が付いており、正確なものではないのが、パウダー飼料の現実である。しかしこれはやむを得ない。そもそも、自然の産物は、品種や産地や収穫年の天候により、栄養価は一定しないので、人工的な調整を行わなければ、ビタミンなどの細かな数値を一定の範囲に収めるのは難しいのである。
 ようするに、表記できるのは大まかな三大栄養素(タンパク質・脂肪・炭水化物)の大まかな割合に過ぎず、それらの割合から計算されるエネルギー量にも大差がないとなれば、含有栄養価は選択する際の基準にはならないと思われる。つまり、選択基準は、原材料の相違くらいなものとなり、結局のところ、野鳥用のすり餌とどれほど違うのか、わからなくなってくる。

 さて、今現在のパウダーフードと遜色ないすり餌という選択肢を持ちながら、文鳥愛好家の先輩たちは、なぜアワ玉主体の餌を用いたのであろうか?それは、そのような手間ひまをかける必然性がなかったからだと私は思うが、結果、それだけでは、栄養不足になることもあるので、何らかの栄養補助の必要性を指摘され、まともな飼い主はそれに対応し、特に問題なく今日に至っている。栄養面で問題ないことは経験的蓄積があり、またアワ粒は文鳥本来のエサなので、消化系への影響も、ごく自然のものになると思われる。 
 ところが、『楽しい文鳥生活のはじめ方』の執筆者は、「アワ玉には小松菜とボレー粉をすり合わせ、動物病院の栄養剤を混ぜる必要があります」などと、平然とわけのわからない主張をしてくれる。いったい、「動物病院の栄養剤」とは何なのか?普通に考えれば総合ビタミン剤(サプリメント)のはずなので、執筆者は知らないのかもしれないが、普通は、獣医さんの手を煩わさずペットショップや通販で入手する。第一、それを入れる必要があるのは、「小松菜とボレー粉をすり合わせ」る時間がない人だということすら、なぜ理解できないのであろうか?
 日本で最初に小鳥専門の動物病院を開院された高橋達志郎先生が、長年にわたり繁殖家をされていた経験を元に、差し餌に用いるエサの作り方を紹介されているが(1990年『小鳥の飼い方と病気』)、それは何もない時代における方法論で、炒ったムキアワに卵黄と炭酸カルシウムと「乳児用の液体総合ビタミン剤」を加えたものである。これを先生は「粟玉(あわだま)」と呼んで、愛用されていたようだが、「アワ玉には小松菜とボレー粉をすり合わせ」る暇があれば、そうしていただろう。鶏卵の黄味がしっかり入っていれば、栄養的には完璧に近く、より自然だ。
 つまり、ツギハギの知識なので、小松菜とボレー粉の代替物が栄養剤ということすら分別できない。自分で考えられる人は、市販のアワ玉では鶏卵の栄養価が不十分ではないかと疑問を持ち、すり餌でも用いられる卵黄粉や鮒粉を添加したり、植物性にこだわってきな粉などを添加したり、いろいろ工夫するのである。そのような人と、たまたま遭遇した動物病院の先生の個性的な考え方に、勝手に振り回されるだけの人では、比べる方がおかしいであろう。
 
 飼鳥の歴史には無知、経験的蓄積に敬意も払えず、まともに検討することも出来ず、受け売りに過ぎない偏頗な知識しか持たず、勝手気ままにつじつまの合わない主張を断定的に行う。そのような、ごく少数派のくだらぬ意見を、飼育書として出版するのは、不見識極まりなく、軽率でしかない。
 無知蒙昧の分際をわきまえて、肯定するにせよ否定するにせよ、しっかり学び、しっかり自分の頭で正否を判断して、批判に耐えられる準備を整えてから、能書きを垂れたいものである(それなりに、分際をわきまえているから、私はいろいろ根拠を用意しているだろうが?)。 





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Last updated  2016年06月01日 23時08分13秒
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