雀坊の納戸～文鳥動向の備忘録～

​​節操無しのバタオ​​

　おそらく、この話題について書くのは今日で最後になるかと思う。
　自分たちが行った会見から一夜明け、世間から袋叩きの状態になっている日大の２人。あえて無理をして彼らの主張を認めても、教育者失格でありアメフトの世界から追放する他ないと書いた。もちろん、普通に聞けば彼らの主張など無茶苦茶である。彼らは「潰してこい！」と命じて、それを加害選手が勘違いしたと強弁しているが、加害選手が会見で話した次の内容を見れば、その言い逃れは最初から成り立たないのである。

　​​「（同じ）ポジションの先輩からコーチに『【加害学生】にアライン（戦術上の隊形やポジション）はどこでもいいから、【加害学生】に１プレー目からクオーターバックを潰せといっとけ』といわれた旨を告げられました。相手を潰すくらいの強い気持ちでやってこいという意味ではなく、本当にやらなくてはいけないのだと追い詰められて悩みました」​​

　まさに核心。東大のヘッドコーチの方も指摘されているように（​朝日新聞記事​）、「アラインはどこでもいいから」で、それがアメフトでは有り得ない障害を目的としていることは明かなのである。

　アメフトでは、アサイメント（役割分担）などと呼ばれるが、誰が誰をブロックしその隙をこの角度でランニングバックが走れとか、オフェンスラインをデフェンスラインが左右に分ける間隙をついてラインの後ろ（ラインバッカー）がＱＢを急襲しろ、など、その１プレーにおけるポジショニングや個々の動きがあらかじめ決まっている。つまり、アメフトは個々の体力がものをいうコンタクトスポーツでありながら、そのコンタクトの前提に、相手のアサイメントを読みとりその裏を突くアサイメントを用意しそれを着実に実行していく頭脳戦である。したがって、アラインはどこでも良いからとにかくＱＢを襲え、などと言う指示は通常有り得ない。もし、そのように個人が勝手気ままに動いてしまっては、全体のアサイメントが崩壊し、致命的な隙が生まれてしまうので、許されないのである（卓越したプロの世界の超一流のプレイヤーならあり得る）。したがって、「アラインはどこでもいいから」と言われたら、プレーなど無視して何でも良いから相手ＱＢを負傷退場させる意味以外には解釈できず、加害学生もそのように解釈して思い悩んでおり、そこに疑問を差し挟む余地はない。

　わざわざおっとり刀で会見を開いて、がん首そろえて憔悴するほど考えた挙句があの言い訳だから、世間が呆れるのは当然だ。さらに、これまた世間知らずの大学職員のご老体が、自分たちの謝罪のために報道陣を音響施設もまともでない自分たちの施設に集めながら、その立場をわきまえない横柄な司会で行って、大学のブランドイメージを著しく損ねるオマケまで付いたのだから、呆れ果てるべきところだろう。
　しかし、育ちの悪い私は、この珍妙な会見の裏を勘繰って、２人に多少同情しないわけにはいかなかったのである。それは、理事である内田氏の発言まで遮るあの司会者は、ただの広報担当の大学職員ではなく、理事より大学組織で上の立場の人、理事長から差し向けられたお目付け役で、つまりこの無茶で不思議な墓穴堀の会見は、理事長が企図したものに相違ない、との憶測から、組織上トカゲの尻尾となってしまった２人が気の毒に思われた、と言うものである。組織でしか生きられない人間の弱さ愚かさの面で、わからないでもないわけである。

　結局のところ、理事長が差し向けたのかは知らないが、司会の方の暴走もあって、組織におけるトカゲの尻尾を切れなかった日本大学は、世間を敵に回してしまった（​産経新聞提供の会見の動画​）。選手が尻尾かと思ったら、コーチ、さらに理事でもある監督がトカゲの尻尾の立場になり、次の当事者は、とりあえず日本大学にはお一人しかいないようだ。何しろあの単科大学の集合体であるマンモス大学は、以前、学長を総長と呼んでいたはずだが、いつの間にか一般的な学長の呼称になってしまい、理事長の存在が大きくなっているらしいのである。そのためか、ゴシップ雑誌などの関心はもっぱら理事長に集中し、いろいろ書きたて始めたようだ。
　一方の理事長は、今のところ、子分たちの不始末に対し無反応。しかし、このままでは全く無関係な話までごちゃごちゃとつつかれ、さらに大学のイメージダウンにつながっていく危険性が高く、黙っていても収束は難しいかと思われる。・・・だが、いぶり出された狸のように理事長が出てきて会見をしても、また何かやらかすのが関の山かもしれぬ。進も地獄退くも地獄、まったくお気の毒様である。

　まったく、自分の母校が体育会系の部活の縄張り争いなどに振り回されて危機を招いたら、「推薦枠の取り合いだけしかしない脳筋どもに食いものにされやがって、消えて無くなっちまいやがれバーロー」だと17日に書いたが、これは日大の理事長が相撲出身者だと知ってイメージしたものだ。ところが案外にも図星だったかもしれない。しかし、大学は教育機関なので、やはり学校の責任者は理事長ではなく学長であるべきで、どういった方かは知らないが、大学の存続を願えば、そちらで収拾を計って頂きたいものである。そして、ライバル校の弱体化で受験生が増えると喜ぶばかりでなく（少子化の現在ではお客様の受験生は奪い合いである）、他の大学も他山の石にして頂きたいものである（非常識でまともに話せない人を、学内力学だけで責任ある地位に就けないように！）。

　で、バタオだが、今夜はフィンに付きまとっていた。毎夜ターゲットを変えて頑張っているわけだが、気が多すぎて、相手も本気に感じてくれないようだ。・・・しようのない奴だ。