「XR RIKENON 50mm F2」α7IIIとIIの違いを楽しむ...
α7IIIでオールドレンズを使っていると暖かめな色味になりやすいということは以前から書いてきました。そんな描写からどちらかと言えばクールな描写が得意なα7IIとはけっこう違った画が出てくることがしばしばです。そんなα7IIとα7IIIで今回はオールドレンズでもお気に入りのベスト3に入る「XR RIKENON 50mm F2」を使ってその違いを楽しんでみようということにしましたので、ぜひご覧ください。オールドを付けての差というところで基本的にはα7IIの「色の安定性」があり、α7IIIではなんといっても「抜けの良さ」という大きな特徴があると思っています。考えてみればここ最近の気に入っているほとんどのオールドレンズを楽しんだのはα7IIIのほうが先なんですよね、α7IIでの「HELIAR 40mm F2.8」の描写を忘れられずにα7IIを買い直したという経緯があってそれらのレンズの使用が後からになっていました。今ではほとんどのオールドをα7IIで使っているのですが、ここに来てα7IIIのとても良い「抜け感」に感心しているということがけっこう多くなってきました。ただ『色』についてはやはり微調整を余儀なくされるケースが意外と多くて、気楽に楽しめるα7IIに出番を取られていたんですねえ。そんなα7IIIの抜けの良さという一面を今回の画像から確認できるかどうか...というのは今回のレンズ「XR RIKENON 50mm F2」は独特なボケが印象的なんですが、『抜け』ということに関してはそれほど抜きん出たレンズではないと思っているんですねえ、絞った時の「精細感」も旨味のひとつなんですが今回<f/4>までしか絞っていませんので、どこまで差が出るやら少し不安ですが...^^;)。それではまずα7IIのショットから見ていただきましょうか...[茶の花](f/2, 1/1600, ISO100)[ノゲシ](f/2, 1/8000, ISO100)いきなり開放の暗めの画からになりましたが、どちらもフォーカスされた主役の渋い描写が良いですね。特に「ノゲシ」の方は背景が影になっていたおかげで危ないボケ方が出ず綿毛に集中させてくれました(笑)。ノゲシの茎も含めた雰囲気がこのレンズらしい開放からキリッとした描写をうかがわせるに十分なものではないでしょうか。[依代(鏡)](f/2, 1/60, ISO500)やっとまともな一眼で撮ることができました^^;)。奥の間でさえボケ気味でまさに祭壇ギリギリのフォーカス面です。しかしこうして見ると両サイドのオレンジ色の垂れ幕?がボケているのかブレているのかわからない様な描写ですね...けしてブレてはいないのですが、模様のせいですかねえ^^;)。[ヤブミョウガ](f/2.8, 1/60, ISO160)これもこのレンズではお初です、もう時間の経過で奥に見える葉がほぼ傷み始めています。絞り気味ですからボケは暴れてはいないのですが、このレンズ独特の色を重ねるようなボケはこの絞りゆえに見られません...でもやはり葉のきれいなうちに撮っておきたかったですね^^;)。[Pink Rose](f/2, 1/1250, ISO100)いつものバラのきれいなお宅のものです、ほぼ最短距離からの一枚です。花びらの描写はとても素敵です、そして背景は玉ボケと葉などの描写が判別しにくくなってくるようなこのレンズらしものになってますね。[サザンカ(山崎公園)](f/2, 1/250, ISO100)これは曇りでも明るい時間に撮ったものですが、花の色をしっかりと出したくてアンダー気味に撮りました。しかし現像で一番花弁をきれいに出せたピク・コンがなんと普段ほとんど使わない「ニュートラル」、このサザンカのような花は見たままの描写の再現は難しいですね。[ハナミズキ](f/2.8, 1/200, ISO100)背景とのマッチングが良さげだった<f/2.8>にて。1段絞っても「抜けの良さ」はフォーカスされた中央下の実と僅かな枝先くらいであまり期待できません(笑)。[Drinking Fountain](f/2, 1/400, ISO100)例の水飲み場です、なんともこういう背景では暴れませんね(笑)。ボケも強いですが、かすかに奥のシャドー部に色の塗り重ねの描写が見られます。そしてフォーカスされた蛇口の描写は先日のplanarに近いですかね、F2レンズの開放からかトーンの余裕を感じますね。[Cobby&紅葉](f/2, 1/320, ISO100)こちらCobbyの開放の一枚はこのレンズの特徴がいろいろ出ていると思える画像です。開放からキリッとしたフォーカス面と、背景が臨場感云々ではなくまさに絵画のような色の点を塗り重ねたような描写...特徴的なバブルボケはもちろん、垣根のサザンカ一輪一輪が丸い点の様になっていたりイロハモミジもその周りの木々もすべて同様なまさに絵筆で塗り重ねたような描写が特徴ですね。[蔦](f/4, 1/80, ISO100)α7II最後の一枚は絞っての<f/4>です。どうですか、このはっきりした太いエッジの感触、良く分かりますよね。アングルがアングルなので立体感は若干感じられる程度ですが、なにより背景が前の一枚同様に細かな点を絵筆で重ねたような描写がこちらでも見られます。続いてはα7IIIの描写を見ていきましょうか...[ニラ](f/4, 1/160, ISO100)α7IIIの抜け感はいいだろうなあと初っ端から少し絞りました、思惑通りですね^^。だいぶ種の落ちた房一つ一つもですが、真っすぐ伸びた茎も含めた描写にその抜け感の良さが出ていると思います...出てきた雰囲気・イメージもα7IIではあまり見られないくらいだいぶスッキリしています。[ハクモクレン](f/2, 1/125, ISO100)けして天気の良い状態ではないです、α7IIだとじっとりとした雰囲気になりがちですがこちらはサラッとした感触です。でもこれ面白くないですか、ハクモクレンのあの固そうな外皮はこうして脱皮のようにして取れるんですね。樹の下にたくさん落ちている外皮はまるで剥いた栗の殻のようでした^^。[マユミ](f/2.8, 1/125, ISO100)マユミの描写も同様です。α7IIだと背景の空と枝がCOSINA-Zeissの開放のようにドロッとした雰囲気になるんですが、1段絞っただけというだけでなくIIIの抜けの良さでマユミの実がスッキリ・クッキリとした描写同様に背景もサラッと気味に描かれています。[アベリア](f/2.8, 1/250, ISO100)今回はα7IIIであまり開放の画像は入ってませんが、ボケの傾向は一緒ですね^^。ただこうして少し絞り出すと俄然スッキリ・クッキリ感が増します。α7IIで見られたエッジの太さが抜けの良さで緩和されているのでしょうか、フォーカス面の鮮明感が増しているようです。[Cobby](f/2, 1/400, ISO100)このCobbyの開放での描写では<f/4>くらいまで絞ってもCobby自体の描写はそれほど変わりません。ですが背景の建物以外というか無機物以外と言ったほうが良いのかもしれませんが、花や遠くの木々などは再三指摘している丸い点描写のような絞り開けた時の特徴的なボケ方になっています...バブルボケと草・花のボケの形状がほぼ一緒です。[サザンカ(文化の杜公園)](f/2, 1/250, ISO100)これも普段使わない『ニュートラル』にての現像です、どうでしょうか...開放でもフォーカスされたサザンカはとてもシャープに描かれています...花びら一枚一枚がとても分離感良く出てくれてます。α7IIのときと比べ自然光下で均一な暗さ(明るさ)なのが功を奏しているのだと思いますが...。[宙に浮く枯れ葉](f/2, 1/80, ISO100)最後は変な一枚になりましたね。いつぞやの毛虫の一枚と似ています、葉っぱのとびきりシャープな描写とバブルボケとその形状の似た点描写の背景です...これからバブルボケを取り除くとまさに絵画のようになりますね...このレンズならではの一枚と言えそうです(笑)。以上がα7IIとIIIでの画像になります、どちらでも楽しめるレンズではありますね...というかどちらにも捨てがたい画がたくさんあり、どちらのカメラに決めるかという決断が下しにくいという悩みがつきまとうのです^^;)。そろそろα7IIを卒業してα7RIIにでもチャレンジしたい気持ちもあるのでとても悩ましい問題です(笑)。2020年12月 江川周辺・文化の杜公園ほかにて(α7II & α7III + XR RIKENON 50mm F2)