「Ai Nikkor 35mm F2S」を1,200万画素機のα7SとD700で比べてみました...
やっとオールドレンズ専用・母艦となる「α7S」が手に入りさっそく稼働させていますが...まあしかしこの「α7S」というカメラは α7 →α 7II → α7III → α7RII と触ってきて再びこの第1世代の操作系をいじっていると、分かってはいるのですが不便を感じる点がままありますね。なんたって2017年に初めてミラーレス「α7」を触ったときでも、ほぼかゆいところに手が届くくらいまできていた(Nikonの)レフ機と比べて「なんだこれは」というメニューの使いづらさから始まり、せっかくある便利なカスタムキーの「機能選択肢」の少なさなど数えるときりがないくらい(笑)。やはり一番大きなポイントは「5軸手ブレ補正」のないことかな、撮影自体は<SS:1/15>くらいだったらD700師匠のトレーニングでの恩恵で手ブレを防ぐことはできますが、やはり接写などでファインダーを覗いているときのファインダー像の「揺れ」はいくらこのα7Sで像がクリアに見えるとはいえ「手ブレ補正機能」のありがたさは強く感じますね...このへんは歳のせいもありですねかねえ^^;)。なので初めてのミラーレスとしてもオールドレンズの母艦としても「α7II」がやはりおすすめの1台となるんでしょうねえ...でもこの「α7S」から出てくる画はちょっと違いそうですよ(笑)。さて今回は予定通り「Ai Nikkor 35mm F2S」をα7Sに付けての散歩撮です、少し前に撮っていたんですがアップしてなかったD700での画像とどんな違いが出てくるか比べてみようと思います。ただし撮影条件がかなり違います、正直これは比較できるのか心配になってくるほど差があるので苦労しそうです(笑)。というのはご覧いただければ分かりますが、D700では雨上がりの雲の多い状況でいわば光が全体に回り込む『自然光』の下での撮影、そしてα7Sでは前日雨だったのでこれは良しと思ったらカラッと晴れてしまいほぼ『直射光』の下での撮影となったので2台の描写には随分と違いが出て当たり前のような条件になってしまいました^^;)。特にどちらかの色味に合わせるようなWBの意識的な調整はしていません、両日ともに「太陽光・晴天」で撮っています...普段のLRのワークフローにて同様に現像しています。それではさっそく見ていくことにしましょうか...[氷川神社:D700](f/4, 1/100, ISO200)[氷川神社:α7S](f/4, 1/100, ISO100)初っ端からこの違いですからねえ(笑)。D700ではこのレンズらしい(暖色系の)色味で細かい葉のニュアンスなどもしっかり描写されてスッキリとした気持ち良い一枚になってます。比べてα7Sの方ですがアングルが若干違うのは、一番手前の赤い灯籠がもう日差したっぷりで入れられず、二列目から奥にしたためです^^;)。とてもコントラストの強い状況ですが、中央の光のあたった木々の葉の様子などにも白飛びしない絶妙な粘りを感じます。[ヤブミョウガ:D700](f/2.8, 1/50, ISO400)[ヤブミョウガ:α7S](f/2.8, 1/60, ISO400)現像していてよく同じアングルで撮れたなあと我ながら感心したカットですが、この2枚には2台の1,200万画素機の違いがとても良く出てるんじゃないかと思います。暗い森の中ですがD700の方は全体に光のまわる自然光の良さが出て、被写体の描写にも素敵な立体感・臨場感が感じられます。一方のα7Sの方は木漏れ日が入ってしまったために輝度差が大きく出てしまいますので、その分影になる被写体の臨場感が若干削がれてしまった感じですね。それでもフォーカスが捉えた実の一つひとつを見ればD700に負けない艷やかな描写が目に付きます。同じレンズの同じ絞りなんだなあというボケ加減には納得ですが、「色」に目を向けると光の状態が違うとはいえ少々傾向が違うかなと感じさせてくれます。WB「太陽光・晴天」ならば青みが出てもおかしくない状況でD700はこのレンズが良く出す暖色系に振ったような色味を感じられますね...そういう意味ではα7Sの方は順当な色の出方のようで、α7~α7II系のシアン系の色味で「爽やかさ(Cool)」を感じさせるような色傾向に振っている気がしますが...いかがでしょうか。[市役所:D700](f/5.6, 1/800, ISO400)[市役所:α7S](f/5.6, 1/1000, ISO100)「自然光」とまさかの「逆光」で比較のとても難しいシーンです、スイマセン(笑)。まあそれぞれを見ていくとD700は銘玉「Ai Nikkor 28mm F2.8S」にも通ずる描写で絞ってキッチリ描いてくれる中に曇りでも温かみのある描写になってます。α7Sの方は同じキッチリの方向は同様ですが、気持ち良い青やシャドー部の粘りの中にも先程の描画エンジンの傾向がしっかり出ていてSonyらしい感触ではないでしょうか。この2台の1,200万画素機の魅力は色傾向でNikon・Sonyが描画エンジンに求める方向は違えど出てくる画像が与える「優しさ」というのが共通した魅力なんですよねえ^^。[Slide:D700](f/2, 1/5000, ISO400)[Slide:α7S](f/2, 1/5000, ISO100)[Spring Rider:D700](f/2, 1/5000, ISO400)[Spring Rider:α7S](f/2, 1/8000, ISO100)もうここまで条件が違うと別レンズで撮ってもわからないくらい(笑)。「Spring Rider」の方でも背景のすべり台のボケ方もよく見れば変わらないですが、影になり気味なものと比べるのが辛くなりますよね^^;)。このアングルで撮った「D700+AF-S Micro-Nikkor 60mm F2.8G ED」の画にも感じたことなんですが、Nikonは「赤」をけっこう強めに出してきてませんかねえ。ただこの画像たちを見て言えるのはα7SはD700に負けない色の厚みを持っていないですか、そんな実感が味わえます^^。[アメジストセージ:D700](f/2, 1/1250, ISO400)[アメジストセージ:α7S](f/2, 1/3200, ISO100)最後はいつも休憩しているコンビニ裏に咲いているアメジストセージでの比較です...これも上の4枚と一緒の条件ですね...フェンスがあってこの角度からしか撮れなかったんです^^;)。こうした花などを撮るには色のハッキリ出る自然光が有利ですからD700の花の質感までしっかり出た描写は美しいですよね。でもα7Sの逆光でもフォーカスされた蕾の柔らかな質感はしっかりと捉えてられています。以上のように見てくるとまだまだファーストインプレッションの域を出ませんが、D700(Nikon)の描画エンジンとは色傾向が違って、α7IIまでのような従来型CMOSセンサーの世代のちょっとクールな傾向が強いというのが分かってきました...嬉しい傾向です。その上に1,200万画素の「優しさ」と「色の厚み」が加わりα7Sならではの画がNikonだけでなく他のオールドレンズで楽しめるようになるわけですからなんとも楽しくなってきますよね^^。そして忘れてならない高感度にこれ以上ないくらい強いという点がプラスされますからますます被写体が増えてくれる楽しみも加わりますよね。今回はちょっとまともな比較にならなくて残念なところもありますが、α7Sの使い勝手も多少悪いながらもだんだん把握できてきましたのでこれから本格稼働となっていきますね...「ワクワク」といった話題でした...^^。2021年10月 雲居の瀧・文化の杜公園ほかにて#D700#α7S#Ai_Nikkor_35mm_F2S