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JEWEL

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二次創作小説:黒執事×薔薇王中世パラレル「薔薇と駒鳥」

2019年08月05日
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黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。

その日、パリは雲ひとつない晴天だった。

「セバスチャン、早くしろ!二人の結婚式に遅れてしまう!」
「わかりました、坊ちゃん。」

セバスチャンとシエルがノートルダム大聖堂に着くと、そこには今日の主役を祝う為に、多くの貴族達が集っていた。

その中には、リチャードの家族も居た。

「ファントムハイヴ伯爵、本日は娘の結婚式にお越し頂き、ありがとうございます。」
「いいえ。それよりも閣下、奥様の事は心からお悔やみ申し上げます。」
「ありがとうございます。」

やがて大聖堂の扉が開き、純白の花嫁衣裳を纏ったリチャードが入って来た。

―まぁ、なんて美しいのかしら。
―まるで天使のようだわ。

陽光に照らされた薔薇窓から射し込む光が、祭壇に居るリチャードとヘンリーを優しく照らした。

「末永く幸せにな、リチャード。」
「あたし達も二人に負けてられないわね。」

リチャードとヘンリーの結婚式を少し離れたところで見ていたネズミのヴィクトルとリリーは、そんな事を話しながら幸せそうな二人の姿を眺めていた。

「リチャード、ヘンリー君と幸せにな。」
「ありがとうございます、父上。」
「ヘンリー君、リチャードを頼むよ。」
「わかりました、まかせて下さい!」
「お前は頼りないから、これから心配だな。」
「酷いや、リチャード!」
「大丈夫だ、ヘンリー。お前のことは主が守ってくださる。」

ヘンリーを今まで息子同然に育ててきたデヴァルジュ司教は、そう言うと彼を抱き締めた。

「司教、今までありがとうございました。」
「彼女と幸せになりなさい。」


かつて、パリの街には“怪物”が棲んでいた。

彼はその醜い容姿故に、外の世界を知らずに生きてきた。

しかし、“怪物”は愛を知った。

そして彼ははじめて“人”となった。

悪魔の呪縛から解き放たれ、“人”となった彼は、自由の身となった。

今日もパリの街に、朝を告げる鐘の音が鳴り響いている。


-FIN-

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Last updated  2019年10月24日 19時44分56秒
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2019年08月02日




黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。

「バッキンガム、お前は望みを果たしただろう?」
「いや、俺はまだ望みを果たしてはいない。」
そう言ったバッキンガム判事は、牢に繋がれているリチャードを見た。
「何だと!?」
「俺の望みは、あんたを手に入れる事だ。」
「冗談は止せ。」
「いや、本気だ。」

バッキンガム判事は、欲望に滾った瞳でリチャードを見た。

「俺に何をする気だ?」
「それはまだわからない。まぁ、あんたの態度次第だな。」
「閣下、奥様が・・」
「部屋で待たせておけ。」
「それが・・」

牢番がそう言って俯いた時、牢にキャサリンとセシリーが入って来た。

「奥様、リチャード様を見つけましたわ。」
「ありがとう、キャサリン。リチャード、わたしと一緒に家へ帰りましょう。」
「嫌です。」
「そう・・では、お前を殺すしかないわね!」

セシリーはそう叫ぶと、隠し持っていた短剣を取り出し、それをリチャードの頭上に振り翳(かざ)した。

一体何が起こったのか、リチャードにはわからなかった。

気が付くと、リチャードは血の海の中に居た。

そこには、セシリーとバッキンガム判事の姿があった。

セシリーは息絶えていた。

「あなた、しっかりして下さい!」

キャサリンは血塗れになって倒れている夫を抱きかかえながら泣き叫んだ。

「坊ちゃん、大変です!」
「バッキンガム判事が、プランタジネット公爵夫人と刺し違えただと?」
「えぇ。」
「それで、二人はどうなった?」
「プランタジネット公爵夫人は即死、バッキンガム判事は医師の治療の甲斐なく亡くなられたそうです。」
「そうか・・」

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Last updated  2019年08月02日 00時00分11秒
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2019年07月15日




黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。

「旦那、俺は何もしていません!」
「さぁ、どうだかな。」

バッキンガム判事は部下に目配せすると、彼らはパン屋の店内を荒らし始めた。

「お願いです、店を壊さないでください!」
「見つけたぞ、ジプシーだ!」

パン屋の床下に隠れていたジプシーの声を聞いたバッキンガム判事は、金の瞳を煌めかせた。

「こいつも連行しろ。」

「何て酷い・・」
「まるで悪魔だ。」

群衆の中からジプシー狩りの様子を見ていたケイツビーは、路地裏で待っているリチャードと合流した。

「どうだ?」
「状況は最悪です。
「そうか。ケイツビー、耳を貸せ、俺に考えがある。」

リチャードはそう言うと、ケイツビーの耳元で何かを囁いた。

「そんな、危険です!」
「お前とヘンリーが、俺を助けに来てくれるんだろう?」

リチャードはそう言うと、ケイツビーを抱き締めた。

「俺は、お前達を信じている。」
「リチャード様、待ってください!」

フードを目深に被ったリチャードは、パン屋を連行しようとしているバッキンガム判事の前に立ちはだかった。

「彼は何も悪くない。」
「こいつはジプシーを匿っていた。」
「俺は疲れた旅人に宿を提供していただけだ!俺ぁ盗みも殺しもしてねぇ、善良なパリ市民だ!」
「彼らの代わりに俺を連れて行け、バッキンガム。お前の狙いは俺だろう?」

リチャードはそう言うと、優雅な手つきでゆっくりとフードを捲り、バッキンガム判事を睨みつけた。

「わかった、そうしよう。」

リチャードがバッキンガム判事に捕えられた事をケイツビーから知ったシエル達は、激しく動揺した。

「早くリチャード様を助けないといけませんね。」
「あぁ、そうだな。」

シエルはそう呟くと、掌の上に載せているキャサリンから渡された紋章入りの指輪を見つめた。

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Last updated  2019年07月15日 00時00分11秒
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2019年07月12日




黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。

「あなた、お帰りなさい。」

キャサリンは、帰宅した夫の様子がおかしい事に気づいた。

「キャサリン、暫く俺は家には戻らない。」
「何かあったのですか?」
「あぁ。」

バッキンガム判事は書斎に入ると、部下を呼んだ。

「閣下、どうかなさいましたか?」
「ジプシー狩りの準備をしろ。」
「はっ!」

バッキンガム判事は、暖炉の中に何かを投げ入れた。

「閣下、準備が整いました。」
「わかった、すぐ行く。」

バッキンガムが書斎から出て行った後、キャサリンは彼と入れ違いに書斎の中へと入った。

「これは、まさか・・」

暖炉の中に燃え残ったあるものを見つけた彼女は、それをコルセットの中にしまった。

「奥様、ファントムハイヴ伯爵がいらっしゃいました。」
「まぁ、伯爵が?」

キャサリンは急いで身支度を済ませると、客間へと向かった。


「まぁ伯爵、急にいらっしゃるなんて・・生憎、主人は外出中でして・・」
「それは好都合ですね。」
「は?」
「ミス・キャサリン、今日はあなたのご主人が虐待していた青年を我が家で引き取る事になりました。そのことをお伝えしたかったので、こちらへ伺った訳です。」
「まぁ、そうなんですの・・」

キャサリンはシエルの話を聞いて驚いていたが、やがて彼女は急に何かを思い出したかのように、シエルにある物を手渡した。
それは、辛うじて燃えずに残っていた紋章入りの金の指輪だった。

「これは?」
「主人がこれを暖炉の中に捨てていました。裏に何か彫ってあるようです。」
「何故これをわたしに?」
「この指輪は、主人がわたしに見つかってはまずいものだと思いまして・・それよりも、あの人は今、半ば正気を失っています。伯爵、どうか主人を止めてください。」
「ご主人は、今どこに?」
「主人は先程、ジプシー狩りだといって街へ・・手遅れになる前に、どうか・・」

同じ頃、バッキンガム判事はパリ市街でジプシー狩りを始めていた。

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Last updated  2019年07月14日 20時21分17秒
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2019年07月05日




黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。

「お願い、そんな事をしないで・・」

突然何かに怯えているかのような顔をしたヘンリーは、そう言った後両手で顔を覆って泣き出した。

「どうした、ヘンリー?」
「嫌だ、もう僕を殴らないで・・」
「落ち着け!」

錯乱状態になっているヘンリーの手首に、何かで縛られたかのような痣がある事にシエルは気づいた。

「助けて、助けて!」

ヘンリーは天を仰ぎ、喘ぐようにそう叫ぶと、気絶した。

「セバスチャン、彼を客用の寝室へ。」
「御意。」

セバスチャンはヘンリーを客用の寝室へと運んだ後、医者を呼んだ。

「これは酷い・・」

ヘンリーを診察した医師は、彼の全身に残っているおびただしい数の鞭の跡を見た後、思わずそんな言葉を洩らした。

「古い傷が幾つもある事を見れば、彼は日常的に虐待を受けていたのではないかと・・」

「あの男ならやりそうな事だ。」

道化の祭りで起きた忌まわしい出来事を思い出したシエルは、そう言うと溜息を吐いた。

「坊ちゃん、これからどうなさるおつもりですか?」
「ヘンリーは我が家の使用人だ。」
「坊ちゃん、大、大変ですだ!判事様が・・」
「伯爵、こちらにわたしの息子がお世話になっていると・・」
「判事、今日から彼は我が家の使用人です。」
「勝手なことを!あいつはわたしの・・」
「息子だとおっしゃりたいのですか?貴方のような方に、ヘンリーの父親だと言う資格はない!」
「バッキンガム様、お引き取り下さい。坊ちゃんはもうこれ以上、あなたとはお話ししたくないそうです。」

セバスチャンはそう言うと、バッキンガム判事の鼻先でドアを閉めた。

(わたしを侮辱した罪は重いぞ、ファントムハイヴ伯爵!)

金色の瞳を怒りで滾らせながら、バッキンガムは雨で濡れた外套の裾を翻してファントムハイヴ伯爵邸宅を後にした。

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Last updated  2019年07月06日 20時29分09秒
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2019年07月01日




黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。

「一体何の騒ぎだ、セバスチャン?」
「申し訳ありません、坊ちゃん。緊急事態が起きました。」
「緊急事態だと?」

階下の騒ぎを聞きつけ、寝室から出て来た主に、セバスチャンは事情を説明した。

「そうか。では、お前は自分の仕事に戻れ。」
「御意、ご主人様。」

嵐が過ぎ去り夜が明けた頃、ファントムハイヴ伯爵邸のダイニングルームでは、リチャードとケイツビー、そしてセバスチャンとシエルがそれぞれのテーブルで朝食を取っていた。

「夜分遅くにこちらをお訪ねしてしまって、こちらにご迷惑をおかけしてしまいました。」
「ケイツビー殿、そちらの事情はうちの執事から聞きました。怪我が治るまで、ゆっくりとこちらで養生して下さい。」
「ありがとうございます、お言葉に甘えさせて頂きます。」
「伯爵、ありがとう!」

ダイニングルームの扉が開き、ヘンリーがそう言ってシエルに抱き着いた。

「こらお前、離れろ!」
「ヘンリー様、坊ちゃんから離れて下さい。」

ヘンリーが突然現れた事に驚いてしまったセバスチャンだったが、彼は慌ててシエルからヘンリーを引き離そうとした。

「伯爵、僕なんでもするから、ここに置いてよ!」
「わかった、わかったから離れろ!」
「やったぁ!」

ヘンリーがそう叫んでシエルに抱き着くと、彼の腕の下でシエルが苦しそうに息をした。

「おいヘンリー、少しは落ち着けよ。」」

天井に吊るされたシャンデリアから長い尻尾を巻き付け、そこからぶら下がったネズミのヴィクトルがそう言って顔を出すと、メイリンが悲鳴を上げた。

「ネ、ネズミ~!」
「大丈夫だよ、この子は良い子だよ。」
「そうですだか・・」
「ヘンリー、なんでもすると言ったが、お前は何が出来るんだ?」
「洗濯や掃除が出来るよ。」
「そうか。お前をうちで雇う前に、お前のご主人様と話をしなければならないな。」
「ご主人様と・・」

シエルの言葉を聞いたヘンリーの顔から笑みが消えた。

「ヘンリー、どうした?」

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Last updated  2019年07月01日 17時09分55秒
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2019年06月28日




黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。

「今夜は嵐になりそうですね・・」

セバスチャンはそう呟きながら、窓を激しく叩く雨音に耳を澄ませていた。

その時、外から誰かが裏口のドアを叩く音がした。

「あなたは・・」
「お願い、二人を助けて!」

セバスチャンが裏口のドアを開けると、そこには全身血と泥で汚れたヘンリーが、今にも倒れそうな顔をしたリチャードと、負傷したケイツビーの身体をかろうじて支えていた。

「どうぞ、中へ。」

セバスチャンはヘンリー達をファントムハイヴ伯爵邸の中へ招き入れると、メイリンとバルドーを叩き起こした。

「メイリン、今すぐお湯の用意を。バルドーは温かいスープの用意を!」
「イエッサー!」

セバスチャンは客間に入ると、そこには毛布を身体に巻き付けたヘンリーとリチャードの姿があった。

「ありがとう、助かったよ。」
「それよりも、一体何があったんですか?」
「それがね・・」

ヘンリーはセバスチャンに、リチャードとケイツビーを見つけ、ここまで連れて来た経緯を話し始めた。
いつものようにヘンリーが大聖堂の鐘楼からパリの街を見下ろしていると、誰かが鐘楼へと上がって来る足音が聞こえてきた。
「誰なの?」
「ヘンリー、俺だ、助けてくれ。」

そう言ってヘンリーの前に現れたリチャードは、全身血と泥だらけだった。

「リチャード、どうしたの?」
「ジプシー狩りに遭って、俺を庇ったケイツビーが矢で射(う)たれた。」
「君は、何処にも怪我はない?」
「あぁ・・」
「ここじゃ、君達には僕は何もしてあげられない。だから、僕は君達を助けてくれる人の所へ連れて行くよ。」
「頼む・・」

こうして、ヘンリーはリチャード達をファントムハイヴ伯爵邸へと連れて来たのだった。

「ケイツビーさんは、どこに?」
「ご安心ください、ケイツビー様なら、今客用の寝室で医師の手当てを受けています。」
「そうか、良かった。」

リチャードはセバスチャンの言葉を聞くと、安堵の表情を浮かべた。

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Last updated  2019年06月28日 19時55分23秒
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2019年06月21日




黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。

「一体何が起きているんだ?」
「ジプシー狩りだ、みんな逃げろ!」

何処からかそんな声が聞こえ、リチャードとケイツビーは素早く荷物をまとめ、隠れ家の裏口から外へと出た。
土砂降りの雨に打たれながら、2人は行く当てもなくパリの街を彷徨った。
「リチャード様、何処か雨風を凌げる場所を探しましょう。」
「あぁ、そうだな・・」
「居たぞ、あそこだ!」
「リチャード様、危ない!」

兵士がリチャードに向けて放たれた矢は、彼女を庇ったケイツビーの胸に突き刺さった。

「ケイツビー!」
「リチャード様、わたしに構わずお逃げください!」
「お前を置いてなどいけるか、馬鹿!」

リチャードは負傷したケイツビーの肩に手を回し、彼の身体を支えながら、再びパリの街を彷徨った。

「何だと、あの娘が逃げただと!?」
「はい、そのようです。」
「そうか・・」

バッキンガム判事は暖炉の炎を眺めながら、部下の話に耳を傾けていた。
「宿屋で例の娘を見つけ、捕えようと脅しのため矢を放ちました・・」
「わたしは生け捕りにしろと命じた筈だ!」
「娘は負傷した従者を連れて何処かへ消えました。」
「そうか・・」
娘の傍に仕えるあの忌々しい従者は何処かで野垂れ死んでくれればいいが、あの娘だけは必ず手に入れたい。

「あなた、どうなさったの?」
「いや、何でもない・・」
「何か気に病んでいる事でもあるのかしら?」

キャサリンはそう言うと、夫が全く手をつけていない夕食を見た。

「ねぇあなた、もうそろそろ子どもをつくりたいの。」
「申し訳ないが、その話は後にしてくれ。」
「あなた・・」

子どもの話となると、決まってバッキンガムは必ずそう言っては自室へと引き上げてしまう。
その時、夫が何を考えているのかが、キャサリンは女の勘でわかった。

「そう・・あの娘にあなたの夫は夢中なのね、キャサリン。」
「お姉様、わたしどうしたらいいの?」

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Last updated  2019年06月21日 21時40分48秒
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2019年06月17日




黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。

雷鳴を聞きながら、リチャードは寝返りをうった。

目を閉じようとしても、雷鳴を聞く度にあの日の事を思い出してしまう。

あの日も、こんな風に外で雷鳴が轟いていた。

「リチャード、この方はお前の夫となる方よ。」

そう言って母・セシリーがリチャードに紹介したのは、顔や身体の大半が贅肉で覆われた男だった。
その男は乱暴者として悪名高く、噂によると前妻は男に殴り殺されたという。

「奥様は一体、何を考えていらっしゃるのかしら?」
「あのような男をリチャード様の婿に迎えるなど・・」

使用人達がそんな事を厨房で話しているのを聞いたリチャードは、その日の夜、自室で寝ていると、かすかな物音がして目を覚ますと、そこにはあの男が立っていた。

「お前、何故ここにいる?」
「奥様が、あんたと仲良くなれってさ。」

そう言った男は、リチャードを寝台の上に押し倒した。

「やめろ、離せ!」
「これから、仲良くしようぜ?」

彼がこれから自分に何をするのかがわかったリチャードは、必死に男に抵抗したが、男の力には敵わなかった。

「女は大人しく俺様に向かって股を開けばいいんだよ!」

男から殴られ、リチャードは気絶したふりをして寝台の近くに置いてある燭台へと手を伸ばし、それで渾身の力を込めて、男の頭を殴った。

「ぐがぁ!」

両手で頭を押さえ、絨毯の上を転げまわる男から逃げるようにして部屋から出たリチャードを待っていたものは、セシリーからの平手打ちと罵声だった。

「さっさと部屋に戻りなさい!」
「ですが、母上・・」
「お前は、わたしに恥をかかせたいの!?」

男から乱暴されそうになっている娘を慮る事もせず加害者を庇うセシリーの態度に絶望したリチャードは、そのまま家を出た。

それ以来、実家には一度も戻っていない。

行く当てもなく、路上を彷徨いながらその日暮らしをしていたリチャードを救ったのは、心配した父にリチャード捜索を命じられたリチャードの従者・ケイツビーだった。
彼は家には戻らないというリチャードの意思を尊重し、彼女と共にジプシーの旅芸人一座に加わったのだった。

「リチャード様、起きて下さい。」
「ケイツビー、何かあったのか?」
「えぇ、それが・・」

ケイツビーが次の言葉を継ごうとした時、外から女の悲鳴が聞こえた。

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Last updated  2019年06月17日 00時00分15秒
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2019年06月14日




黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。

同じ頃、ファントムハイヴ伯爵邸の前に、アンは立っていた。

(ここに、本当にリチャード様がいるなんて信じたくないけれど・・一目リチャード様の姿を確かめないと・・)

「おい貴様、ここで何をしている?」

背後から声がしたのでアンが振り向くと、そこには伯爵と執事の姿があった。

「わたくしはアン=ネヴィルと申します。こちらに伺ったのは、リチャード様の事で・・」
「ミス・アン、お待ち申し上げておりました。どうぞ中へ。」
「はい・・」

少し戸惑いながらも、アンはシエル達と共にファントムハイヴ伯爵邸の中へと入った。

「あの、リチャード様がこちらでお世話になっていると聞きました。リチャード様はどちらに?」
「残念ですが、リチャード様は今、こちらにはいらっしゃいません。」
「いらっしゃらない?それは、どういう事ですか?」
「急に黙って出て行かれてしまったのです。お部屋にわたしが入ると、このようなものが、寝台の上に置かれておりました。」

“探さないでください”

「リチャード様は、何処に行ったのかわかりますか?」
「それは、わたくし共にもわかりかねます。」
「そうですか・・」
「ミス・アン、あなたはリチャード様の幼馴染だと聞きました。リチャード様は何故、家を出てしまわれたのですか?」

セバスチャンの問いに、一瞬アンは唇を硬く引き結んだが、その後ゆっくりとリチャードが家を出た理由を話し出した。

「それは、セシリー様が勝手にリチャード様の縁談を進めた所為ですわ。リチャード様の縁談相手は裕福な商人ですが・・彼は乱暴者で有名でした。」

リチャードはその縁談相手に無理矢理犯されそうになり、その場から命からがら逃げ出したのだった。

「セシリー様は、リチャード様を庇うどころか、リチャード様を責めました。」
「それは酷いな・・」
「セシリー様は何故、リチャード様を嫌っていらっしゃるのですか?」
「嫌うなんて、そんな生易しいものではありません。セシリー様は、リチャード様を憎んでいるのです。」
「何故、憎んでいるのです?」
「それは、リチャード様が悪魔だからです。」

外で、雷鳴が轟いた。

「リチャード様が、悪魔?それは一体どういう事なのですか?」
「それは、わたしにはわかりません・・」

アンはそれっきり黙り込んでしまった。

セバスチャンの脳裏に、ノートルダム大聖堂で半狂乱になったセシリーの姿が蘇った。

(アン様も知らない、リチャード様の秘密があるのかもしれませんね・・)

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Last updated  2019年06月14日 18時46分36秒
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