黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。
「恋の話なら、このリリー姐さんに任せな!」
「おいリリー、ヘンリーはうぶなんだぜ、こいつに刺激が強い話はよせ!」
「刺激が強い話って何だい?あんたとあたしの・・」
「よせって!」
「全く、うぶなのはどっちだか!」
リリーがそう言って笑うと、誰かが鐘楼に入って来る気配がした。
「ヘンリー、気をつけろよ!」
「う、うん・・」
ヘンリーが護身用の短剣を握り締めていると、足音がゆっくりと、そして各辻に自分達の方へと近づいて来た。
「曲者!」
「ヘンリー、落ち着け、俺だ!」
短剣を手にしたヘンリーの前に現れたのは、フードを目深に被ったリチャードだった。
「リチャード、どうしてここへ?鐘楼の鍵はご主人様しか持っていない筈・・」
「ヘンリー、俺が深窓の令嬢だと思っているのなら、とんだ思い違いだな。どうやら俺は掏摸(すり)の才能もあるらしい。
そう言ってヘンリーに向かって笑った掌の中には、鐘楼の鍵があった。
「ここにきては駄目だよ、リチャード!ご主人様に見つかったら、どうなるか・・」
「俺はあの男など恐れてはいない。」
「ねぇ、どうして君は家を出たの?」
「自分らしく生きる為だ。俺は、誰かの言いなりにはならない。」
「君は強いね、リチャード。僕とは大違いだ。」
「ヘンリー、自分の心を自分で縛ろうとするな。自分を好きになれるのも嫌いになれるのも自分の心次第だ。」
「リチャード・・」
「お前に会いに来たのは、これをお前に渡しに来た。」
そう言ったリチャードは、ヘンリーの首にルビーのペンダントを提げた。
「これは?」
「ここに、“奇跡の法廷”の場所が示されている。」
「どうして、そんな大切な物を僕に?」
「お前を信頼しているからだ。」
「そう・・」
「また会おう、ヘンリー」
リチャードはそう言うと、ヘンリーの頬にキスをした。
リチャードが立ち去った後、ヘンリーはリチャードに触れられた所が未だに熱くなっている事に気づいた。
にほんブログ村