黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。
「お願い、そんな事をしないで・・」
突然何かに怯えているかのような顔をしたヘンリーは、そう言った後両手で顔を覆って泣き出した。
「どうした、ヘンリー?」
「嫌だ、もう僕を殴らないで・・」
「落ち着け!」
錯乱状態になっているヘンリーの手首に、何かで縛られたかのような痣がある事にシエルは気づいた。
「助けて、助けて!」
ヘンリーは天を仰ぎ、喘ぐようにそう叫ぶと、気絶した。
「セバスチャン、彼を客用の寝室へ。」
「御意。」
セバスチャンはヘンリーを客用の寝室へと運んだ後、医者を呼んだ。
「これは酷い・・」
ヘンリーを診察した医師は、彼の全身に残っているおびただしい数の鞭の跡を見た後、思わずそんな言葉を洩らした。
「古い傷が幾つもある事を見れば、彼は日常的に虐待を受けていたのではないかと・・」
「あの男ならやりそうな事だ。」
道化の祭りで起きた忌まわしい出来事を思い出したシエルは、そう言うと溜息を吐いた。
「坊ちゃん、これからどうなさるおつもりですか?」
「ヘンリーは我が家の使用人だ。」
「坊ちゃん、大、大変ですだ!判事様が・・」
「伯爵、こちらにわたしの息子がお世話になっていると・・」
「判事、今日から彼は我が家の使用人です。」
「勝手なことを!あいつはわたしの・・」
「息子だとおっしゃりたいのですか?貴方のような方に、ヘンリーの父親だと言う資格はない!」
「バッキンガム様、お引き取り下さい。坊ちゃんはもうこれ以上、あなたとはお話ししたくないそうです。」
セバスチャンはそう言うと、バッキンガム判事の鼻先でドアを閉めた。
(わたしを侮辱した罪は重いぞ、ファントムハイヴ伯爵!)
金色の瞳を怒りで滾らせながら、バッキンガムは雨で濡れた外套の裾を翻してファントムハイヴ伯爵邸宅を後にした。
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