|
テーマ:言語について(33)
カテゴリ:ことば
わたしの父のはなしを、ちょっと。
父は元商社マンで、英語はそこそこ話す。50歳を過ぎて から仕事でブラジルに渡り、必要に迫られてポルトガル語 を勉強した。そのころ、こんな話をしていたのを思いだす。 「言葉っていうのは、本当に不思議だな。今日会ったブラ ジル人は英語ができない人で、なんとかポルトガル語で話 をしていたんだが、単語が一つ思い出せなくてね、ウンウン うなってたら、ひょいとドイツ語の単語が出てきたんだよ。 おどろいたなぁ、30年以上前に勉強したドイツ語がどこ から出て来たんだか。 ポルトガル語をしゃべろうとすると、きっと頭の中で (英語じゃない、英語じゃない)と思って検索すんだろう な。ドイツ語なんて、すっかり忘れたと思っていたのに。」 と笑っていた。 もちろん口に出したとたんに「あ、これはポルトガル語 じゃない、ドイツ語だ」と判るわけで、その辺も実は すごいことだなぁ、と思う。 わたしも日本語、英語、ポルトガル語と使っていて、 3ヶ国語が混ざるということはまず無い。それぞれの 言語には独特のリズムと流れがあって、混ぜて話せと 言われてもできるものじゃない。 それでも、父の言っていたようなことがたまには起きる。 和文英訳の授業で、突拍子もない質問が出てきたとき。 うまい英語が思いつかなくて答えにつまったりすると、 ひょいとポルトガル語が口をついて出てきそうになる。 もちろん、ポルトガル語をぐっと飲み込みながら英語を ひねりだすのだが、内心「ああ、またバグったな」と 苦笑する。英語だけで話しているときにはほとんど起き ないことなので、日本語と英語を行ったりきたりする 作業の途中で、あわてたときとかに起きるのではないか と思うのだが、どうだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ことば] カテゴリの最新記事
|
|