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テーマ:旅のあれこれ(10281)
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マナウスで暮らす人は時計を持たない、という話があります。
人との待ち合わせは「雨の前」「雨の後」という「時間」で 決まるからだそうです。 熱帯のスコールというのは、日本の夕立のちょっと強いヤツ ぐらいに考えていたので、雨の前と後なんて、ずいぶんいい 加減な人たちだと思っていました。ところが、雨季のマナウス に滞在してわかったことは、雨は一日に2回降る、それも、 とんでもない雨量の雨が降るということなのです。 陽が上る、とたんに暑くなる、蒸発した水分が10時すぎに はドカっと降ってくる。降り出したら、とても外を歩ける ものじゃない。傘なんて役に立たない。そもそも傘を持って 歩いている人をみかけない。雨が通り過ぎるまで、街の全て が雨宿りです。そして雨が上がると、また強烈な蒸し暑さ。 温度はどんどん上昇し、午後2時ごろにはまた雨が降る。 確かに時計があっても意味がない。雨が少し遅くなったら、 約束も遅らせるしかないもの。 これでもアマゾンでは、雨の降る雨季を「冬」と呼ぶ。雨が 降れば、少なくともその間は少し涼しいということらしい。 強烈な冬があったものです。 乾季と雨季が繰り返す地域と、四季がめぐる地域とでは、 人間の時間に対する感覚が根本的に違うような気がします。 朝があって夜があって、今日が終わって明日が来る、雨季が 終われば乾季が来る、すべてがその繰り返し。そういう環境 に居ると、今という時間の先には永遠という時間がただただ 続いている・・・なんだかそういう感覚になってくるのです。 ある田舎町の道端で、ブラジル人が鶏の卵を売っていたそう です。値段を尋ねるとけっこういい値段を言う。次に、放し 飼いになっている鶏を指して、あれも売り物か?とたずねる と、卵と同じ値段だと言うのです。これはずいぶん安い。 どうして同じ値段なのかと聞くと、「これを放っておけば あれになるから」と答えたそうです。時間に追われる都会の 人間には、聞いただけでめまいのするような感覚ですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年01月11日 01時15分49秒
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