かけだし樹名板屋の独り言

　暁と黎明、どちらも夜明け前をさす言葉として承知はしているが、明確な区別ができずにいた。　広辞苑によると、黎明は「１あけがた。よあけ。２物事の始まり。」、暁は「夜を三つに分けた第三番目。宵・夜中に続く。現在では、やや明るくなってからを指すが、古くは、暗いうち、夜が明けようとする時。」だそうだ。　本質的に「始まり」を表す言葉と、「時刻」を表す言葉の違いがあるということだが、夜明けの空を表現する場合、どのように使い分ければいいんだろう？

　さてそれでは、少し古くなってしまったが、私のお気に入りのこの写真をご覧いただこう（1/1撮影）。　これは、元旦の日の出直前の愛鷹山（あしたかやま）。　富士川からおおむね北東方向に当たる。　東の空は赤くなり始めたが、こちらは東からのほのかな明かりに照らされて、ダークブルーの夜のとばりが緑色を帯び始めている。　私にしては久しぶりに芸術的な写真が撮れたものだ。　これは何色と表現したらいいんだろう？　まさに黎明の空というイメージだ。　黎明の愛鷹山と名付けよう。

　そしてこちらは同時刻の富士山（１枚目）。　おおむね北に当たる富士山は、ほとんど真っ暗で目をこらさなければよく見えないが、愛鷹山よりはるかに高い山頂はすでに日の出を向かえているのだろう、うっすらとオレンジの朝日を浴びている。　こちらは黎明の富士といったところか。　そしてこちらが同時刻の東の空（２枚目）。　日の出前の空が茜色に染まり始めている。　これはまさに暁の空というべきだろう。　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あと２枚

　こうやって暁の空と、明けやらぬ空を並べてみると、暁と黎明をこのように区分したくなってきた。　先生、これでよろしいでしょうか？