たった1兆?
このところ花が見当らないのでこんな話ばかりで恐縮だが、ほかに語れる話もないので、昔読んだ本の紹介をテーマに加えさせて頂く。 これもまたアシモフの科学エッセイシリーズの1冊だが、とにかくスケールの大きい数の話で驚かされることばかりだ。 大きい数字としてまず思いつくのは100万だろう(日本人なら1億というかもしれないが、アメリカではミリオンが基本単位)。100万円といえば私にとっては大きな金額だが手の届かない数字ではない。では100万秒は? 11日半強だ。これも驚くほどでもないな。 ではトリリオンはどうだ? 100万×100万。日本では1兆だ。 1兆円など、私には100回生まれ変わっても手の届く数字ではない。1兆秒は? 31,700年だという。人類の歴史のはるか以前、石器時代だ。 これは1兆というのは途方もない数字だ。 と思うのが一般人だろうが、アシモフはこれをこともなげに「たった1兆だよ」と言い放つのである。 簡単な例を挙げてみよう。人体には約25兆個の細胞があるのだという。そしてそのそれぞれの細胞は約90兆個の原子を含んでいるという。1人の人間にである。 アシモフはここから体内に存在する炭素14原子(炭素の放射性同位元素・一定の周期で崩壊して放射線を発生する・ガンとの因果関係が懸念される)の存在量とその崩壊の確率を計算している。 それによると、体内の遺伝子に入っている炭素14原子は、1秒ごとに50個が崩壊(爆発)しているのだという。何と恐ろしいことか! しかしご安心を。炭素14原子の爆発による遺伝子の変化といっても、たいていの場合はその遺伝子が働かなくなるというにすぎないそうだ。そしてガンなどの原因になるような変化というものは無視できるほどの小さな比率にすぎないと思われる。 アシモフは「その変化の詳細が分かればどんなにいいことだろう!」と付け加えている。 それが分かればガンの一因を取り除くことができると考えていたのだろう。 なお、過去ログのフォトアルバムへのリンクが切れてしまいました。トップページのフォトアルバムからお入りください。