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貧乏旅人 アジアの星一番が行く 世界への旅

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2024.03.18
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カテゴリ:作家



あらすじ
悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれ、長野高校に進学した。大学は東京のM大学である。その間、小平由樹枝と良いお付き合いをした。大学2年になりとあるコンパで飲み過ぎて矢代美恵子と深い関係となる。小平由樹枝を愛していたが、愛想をつかされ振られてしまった。その後、美恵子とは変則的な付き合いを行い、1年先輩の美恵子は就職して大学もアパートも去った。悠介は大学4年になり就職活動も終わり、希望の会社に就職も決まった。そして友人高橋の結婚披露宴も無事終了。その後新婦の友人の唐橋由美子と親しくなったが、あまりに積極的な彼女に右往左往する悠介であった。別れたいが別れさせてくれないので困っている。一方、美枝子は玉の輿と言える結婚する事になった。3月末、悠介は就職の為、神田川辺のアパートから引っ越しする。実習中に由美子が自殺未遂をしたと言う連絡を受けて真っ青になった。大内人事課長と由美子の父親に会い、慰謝料も支払い由美子の心の問題を除けば問題は解決した。悠介は希望の鹿沼工場に配属され社会人生活が始まった。
悠介は女性問題からタイのシラチャへの出張が決まった。



写真はネットより借用

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悠介は自分の机に戻って、資料を開いた。建築計画図がある。本社建屋には、社長室があり、各部の広い事務所がある。ここに各部の机を置く事になる。会議室、応接室、給湯室もある。さらには別棟に工場に隣接した工場事務所がある。そこに工場長室や、現場管理を行う各部署を設置する。工場内の備品は製造現場の要員が来てから検討するか若しくは技術部が行うと聞いた。これは、本吉課長か丸山課員に相談すればいい。着替え室やトイレもある。何を準備するのか各部屋ごとのリストアップしようと思った。部屋数が多い。

悠介は毎日の仕事もないし暇であったので、退屈していた。このままでは残り2ヶ月半での勤務後、ここに残る事も出来ないと焦っていたのである。それが大きな仕事を貰ったので張り切って仕事に取り組んだ。まずは部屋のリストを作る事にした。キングファイルを開きながら、各部屋のリストを作る。部屋名も分かり易く記載する。根を詰めて仕事をしていたら、ハンサから声がかかった。
「何をそんなに一生懸命やっているの?」
「あぁ、購入する備品リストなんだ。会社全体、工場全体のね。」
「そうなのですか? 私がお手伝いする事は?」
「リストを作り終えたら、見積を取らなければならない。その時は業者とか色々と教えて欲しい。」
「そんな事なら簡単よ、いつでも言って。」

その後、ハンサは小声で言った。
「クリスマスイブの日は何か用事ある?」
「いや、特にないけど。僕には普通の日だ。」
「だったら、私達のクリスマスパーティーに来ない?」
「誰が出るの?」
「私の友達。6~7人になるかな? 寺本さんが参加して8名になると思う。」
「会社の人は?」
「会社の人は関係ない。ご招待は寺本さんだけよ。」
「えー、僕だけ?」
「そう、駄目?」
「駄目ではないけど、皆さんタイ語でしょう?」
「いえ、皆さん英語が話せるから、大丈夫よ。」
悠介は、一瞬考えたが、現地の人達との付き合いも悪くないと思い、参加する事にした。せっかくタイに来ているのだから、タイ人の知り合いがあっても悪くはない。
「じゃー、せっかくなので参加させて貰うよ。」
「良かったー。友達に日本人が参加すると言っておくね。」

クリスマスイブはすぐにやって来た。水曜日である。出来れば休みの前の土曜日が良いな、と思ったが、別に何曜日でも関係ない。いつも通り宿に帰り着替えをした頃、ハンサが迎えに来た。バイクである。悠介はハンサの後ろに乗った。どこに捕まって良いのか迷うがバイクの後ろの椅子を持って揺れに耐えた。ほんのちょっと走っただけである。10分も掛からなかった。小さなお店の前の駐輪場にバイクを止めた。

お店のドアを開けると中は広かった。そしてそこを通り抜け奥の個室に入った。
「メリークリスマス!」既に6名が集まっていた。悠介たちが最後のようだ。
「メリークリスマス!」ハンサと悠介が声を揃えて挨拶した。
「ようこそ! いらっしゃいました。」
背の高い青年が挨拶を返してくれた。
「それでは紹介しましょう。接待者はこちらに並んで下さい。」
ハンサも含めた男女4人が、並んだ。
「本日、皆さんを招待した4名です。皆さんがお気に入りの方を一人づつ招待した次第です。私はチャクリと言います。私が招待した人は、ニンさんです。」
悠介側にいた女性が前に出て頭を下げた。次に男性が又女性を紹介した。
どうもペアで参加のパーティのようである。

女性が男性を紹介したあと、そして最後のハンサが前に出て言った。
「私はハンサです。私が招待した人は日本人の方です。寺本悠介さんと言います。
悠介は前に出て会釈した。悠介はペアのパーティとは思っていなかったので驚いた。皆さんでワイワイ飲んで食べるパーティとばかり思っていた。これは普通のパーティとは違うなー、と今後どうなるのかワクワクして来た。
「では、乾杯しましょう。」
ハンサがビールを注いでくれた。悠介もハンサのコップにビールを注ぐ。
「それでは、良いですか? 皆さんの恋が実りますように、乾杯!」
「乾杯!」
「乾杯!」
それぞれの人がビールのコップを持ち上げて乾杯をした。
「それでは、各自歓談しながら、食べて飲んで下さい。」
「ハンサ、こんなクリスマスパーティーとは思わなかったよ。どうして大森さんとか丸山さんを誘わなかったの?」
「どうしてって、寺本さんが一番良いと思っているからよ。」

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Last updated  2024.03.18 12:52:15
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