飛翔体と不沈空母
○試される日米MD連携=情報共有、破片警戒も-北朝鮮ミサイル 【ワシントン3日時事】北朝鮮が人工衛星と称して長距離弾道ミサイルを発射する準備は最終局面を迎えた。発射時には、探知や追尾情報の共有化など日米が巨費を投じて構築したミサイル防衛(MD)が試されることになる。 米軍が発射情報の伝達、解析の切り札にするのが、高度約3万6000キロで北朝鮮の発射台を監視する早期警戒衛星と、米軍三沢基地(青森県)に配備した移動式統合戦術情報処理システム(JTAGS)だ。 早期警戒衛星から発射情報を受け取ったJTAGSは、着弾予想地点や着弾までの時間を瞬時にはじき出す。また、同県に配備された米軍の移動式早期警戒レーダー(Xバンドレーダー)は目標を探知、追跡するとともに、本物とおとりを見分ける機能がある。 解析結果や追尾情報は、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD、コロラド州)と、日本のイージス艦や地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)部隊に提供される。 国防総省によると、一般的に打ち上げからイージス艦が迎撃できる大気圏外に到達するまで3-5分。一段目が落下する予定の日本海では、米イージス艦と海上自衛隊の2隻のイージス艦が連携して対応する。 米政府内では迎撃までには至らないとの見方が強いものの、「北朝鮮は性能試験を十分行わずに開発を進めている」(メイプルズ国防情報局長)とされ、信頼性を疑問視する声は根強い。 ロケットは多段式になるほど技術は複雑になり、分離時に失敗するリスクも高まる。北朝鮮は2006年に2段式とみられるテポドン2号で失敗した。今回は3段式の可能性が高い。ゲーツ国防長官は米テレビのインタビューで、打ち上げが失敗し、破片が日本に落下する可能性があるとの認識を示している。(了)└─時事ドットコム(2009/04/03-16:05)〓勝手に独断と偏見〓・ウィキペディアによるとテポドン2号(全長36m)とは 「北朝鮮の弾道ミサイルである。テポドン1号を発展させたものとされる。射程は約4000~10000km、グアムやアラスカなどアメリカ領土の一部も射程におさめると考えられている。第1段目には新たに開発した大型ブースターを使い、第2段目には(「テポドン1号」で第1段目だった)ノドン・ミサイルを使用した二段式と見られている。」 日本の人工衛星打ち上げ用ロケットであるH-IIAロケット(標準型:H2A202)の全長は53m。 「JAXA|H-IIAロケット(4号機)フライトシーケンス図」では、第一段・第二段分離が6分43秒で高度389km、環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)分離が16分28秒には高度808kmに達した。 大気圏の最上位が熱圏で80km-800km、「みどりII」はその上(802.92km)を飛んでいる。・「パトリオットミサイル/ウィキペディア」によると 「PAC-3:翼幅51cm・弾体径25cm・重量320kg・上昇限度15,000m・対弾道弾射程20km(破壊力を高めるため、弾頭は近接信管だけではなくヒット・トゥ・キル(Hit-to-kill)、つまりPAC-3ミサイルの飛翔体全体を目標弾道ミサイルに直接衝突させ、その運動エネルギーによって目標を粉砕破壊する方式のものに変えられた。)」 上記の資料が正しいとすると、日本に関してはゲーツ国防長官の「打ち上げが失敗し、破片が日本に落下する可能性がある」が全て。 「PAC-3」の上昇限度は15km、北朝鮮の「飛翔体」が「H-IIAロケット」と同様の目的を目指しているのであれば、第一段・第二段分離が6分43秒で高度389kmに近い飛行が行なわれ、高度に関してオーダーが違っていて打ち上げを失敗でもしない限り日本とは無関係、ミサイルだとすると米国向けで日本に対してはノドン(射程約1,000~1,300km といわれ、ほぼ日本全土を射程に収め、配備数は150-200基といわれている)で十分と思われる。 今回の「飛翔体」は米国向けの脅しで、日本海での日米による情報収集は米国の為が主で、米国への長距離弾道ミサイルに関して日本は不沈空母ではない、米国へのミサイル攻撃の阻止は発射直前・直後のみであり、それ以後は早く良質なデータを米国に送ることが可能かが問題になると思う。