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カテゴリ:物語 鬼果
女の子は 暗闇にしゃがみこんだ。 あたりに誰も居ないことを確かめ ポケットから手を出す。 そっと 開いた。手のひらで 星が光った。 ずっと 欲しいと 思っていた。 かなちゃんの首元で光る星のペンダントが 欲しくて欲しくて たまらなかった。 がまんしていた。かなちゃんのものだから。かなちゃんが大切にしていたから。 でも 今日 耳元で声が聞こえた。 「欲しいなら 手を伸ばさなきゃ。手伝ってあげる。ほら。」 ささやきと同時に 前を歩くかなちゃんの首から さらりとペンダントが落ちた。 見えない手が 留め金をはずしたように。 かなちゃんは気づかない。 友達も気づかない。 女の子は 黙ってペンダントをひろって にぎりしめ その手をポケットに入れた。 女の子は 手のひらの星にみとれる。暗闇の中で。 「ほら 簡単だったでしょう」 とささやく声。 女の子はこくりと わたしに向かって うなずいた。 ワタシが言った。 「種は 根付いた。」 クリックが励みになります→ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.25 17:03:52
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