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カテゴリ:物語 鬼果
女は
口に針をふくみ 手の中にハサミを隠し持っている。 昔 手に入れた星を暗闇で研ぎ続け 今では 切っ先鋭く冷たい刃。 女は 出会うものすべて 目をそらしてやりすごす。 すれ違ってから 後ろ姿をにらみつけ そのうなじに 針を吹き刺す。 背中を ハサミで切りつける。 女は 世界を憎み すべてを恨み なにより自分を嫌っている。 女と わたしがすれ違う。 ワタシが言った。 「収穫の時」 わたしは 女がふりかえるより先に その背に ずぶりと手を差し入れた。 女は 悲鳴をあげて 鬼火となった。 わたしの手に 鬼火が灯った。 応援クリックが励みです→ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.30 11:06:45
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