Beach Boys Concert
Beach Boys ConcertThe Beach BoysReleased in 1964Produced by Brian WisonLabel: Capitolビーチ・ボーイズ初のライブ・アルバム『Beach Boys Concert』は、彼らにとって初の全米チャート第一位に輝いたばかりでなく、ロック・バンドのライブ・アルバムとしても初の全米第一位という記録を打ち立てる。このアルバムが発売された一九六四年は、ビートルズをはじめとするブリティッシュ・インヴェイションが始まった年で、アメリカのミュージシャンがどんどん職を失っていく中、逆にビーチボーイズの人気は絶頂を迎えていた。アルバムの冒頭を飾る「Fun, Fun, Fun」そしてエンディングの「I Get Around」では、観客のあまりの歓声に演奏がかき消されてしまい、やむなく後でオーバーダブしたという。このアルバムを聴いて最初に感じたのは、演奏がしっかりしていて特にコーラスが見事なこと、そしてライブならではの楽しさにあふれていること。つまり、ビーチボーイズというのはこの時期すでにライブバンドとしての力を身に付けていた。ライブならではのお楽しみといえるのが「Little Deuce Coupe」を使ったメンバー紹介。最後に全員そろって演奏を始めるところは何度聴いてもかっこいい。うれしいことにビデオ『エンドレス・ハーモニー』にもこれと同じメンバー紹介が収録されている。全十三曲中カバーが八曲というのは今の感覚では多すぎるが、当時は当たり前のことだったのだろうし、また、そのカバー曲がビーチボーイズの魅力を実に良く伝えている。もう一つ感じたのが、このアルバムは当時のビーチボーイズに対するファンのイメージを忠実に表しているのではないか、と言うこと。そしてビーチボーイズもファンの期待に応えるべく、持てる全てを出してエンターテイメントに徹していて、彼ら自身、演奏を楽しんでいるように聞こえる。幅広い選曲、そしてライブならではの楽しい演出。このアルバムはビーチボーイズのもっとも幸福な時期をとらえたドキュメントともいえそうだ。この時期、ブライアンはキャピタルレコードに課された、年間シングル四枚・アルバム三枚、と言う過酷なノルマとコンサート・ツアーをこなし、一方でビートルズ、フィル・スペクターを上回る作品を作るための時間を捻出するために、ちょっとしたアイデアとわずかな手間で作れるアルバムを何枚か作っている。このアルバムはその中で最初のものといえそうだが、そういったいきさつは抜きに、十分に楽しめる内容になっている。また、唯一のオリジナル・メンバーによるライブ・アルバムということで、今にして思えば貴重なアルバムとなった。ここに収録されているコンサートは八月一日、サクラメントで行われたものだが、アルバムが発売された十月にはすでにブライアンの精神は異常をきたしており、翌六十五年一月からついにコンサートツアーには同行しなくなってしまう。曲目リスト Fun, Fun, Fun The Little Old Lady From Pasadena Little Deuce Coupe Long, Tall Texan In My Room Monster Mash Let's Go Trippin' Papa-Oom-Mow-Mow The Wanderer Hawaii Graduation Day I Get Around Johnny B. Goode